2015年現在の日本において、クーデターによる権力奪取を目的とした政治活動はそうそうあるものではないが、世界のあちこちで政府転覆もしくは世界地図の塗り直しを目的とした活動家がたくさんいるのだから、活動家の危険性という問題を一笑に付するわけにはいかない。政治活動家は権力奪取を目的としている。その目的がないなら活動家とは言わない。地上の楽園を思い描いている白髪頭の老革命家も日本のどこかで空閨をかこっているであろうし、無垢な若者が迂闊にデモにでも参加したら、変な団体から勧誘されることもあり得る。主義者たることで現実に照らし合わせた自分とは別の自分を生きることも出来るのだし、なにかしら魅惑はあるに違いない。烏合の衆としてデモをするということだと意義が見えづらい。このくだらない現実とは次元が違う高級な党綱領で動いている秘密結社に参画し、潜伏した地下活動を通して自分が生まれ変わることが必要なのである。非合法組織の党員という裏の顔を持っていることで自尊心が得られる。レーニンもスターリンもトロツキーもすべて偽名だが、それは仮初めのニセモノではなく新たなアイデンティティーなのである。まったく合法的に普通にデモをやって終わりというのも可能ではあろうが、有象無象の大衆の一人という自分のみじめさに向き合わされるだけであり、自分自身の革命には至らない。革命政府を夢見ない人民戦線は容易ではない。スパイを拷問したり秘密警察に検挙されてシベリアに送られることで、何かしら自分が世界史の主人公であるという意識を持つことが出来る。レジスタンス運動のためのパルチザンという側面を持たずに、ただの烏合の衆として集まるのは簡単なことではない。運動には指導者が必要であり、盲いた大衆の蒙を啓いて教化するという野心の問題である。アジテーションに反応する活動分子が寄り集まるならば党細胞は根を張って繁茂していく。この日本には潜在的なテロリストはほとんどいないであろうし、地下鉄で毒ガスを散布することはまずあるまいし、暗殺されたり、政治犯として獄中記を出版する立場になるのも難しいが、それを閉塞的な状況と見なして新しい理想世界のために決起するならば、愚行の反芻にしかならない問題である。







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