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本を読んでも今ひとつ世の中のことがわからないのは、実務的なノウハウを公開する人が稀であるということだし、つまるところ飯のタネであるから、洗いざらい書くわけがない。たとえば板倉雄一郎の「社長失格」などは、人生経験をかなり率直に書いた稀な事例だが、こういうふうに仔細に渡って告白してしまうのは、大きな失敗をした人とか、刑事事件になった場合に限られる。もちろん「社長失格」が正真正銘の赤裸々な告白かどうかは知らないし、あちこち文飾が施されているのかもしれないが、あくまで事例であるし、ともかく稀なのである。大過なく生きている人は「告白」しないし、回顧録と銘打たれていてもほとんど精神論だったりとか、本で世の中を知るのはなかなか難しいのである。だから表向きは晒されていない本当の生々しい実情を知りたいのであれば、社会に自らを投じて内部関係者にならなければならない。では、本を読むのが無駄かというとむしろ逆であろう。たいていの人はどこかの組織に帰属して、その固定された立場で社会経験するので、一通り体験したら一人前で、あとは惰性で変わらない日々を反復するという側面もある。とある分野で30年やってますというベテランがいるとして、熱心に勉強している人と、怠っている人ではかなり違う。世の中には経験しないとわからないことがあり、その一方で硬い本を読まないとわからないことがある、というと単純な結論になってしまうが、そういうことなのである。
思いつきという言葉が悪い意味で使われるのは、普段はあまり考えてないボンクラが衝動的にやるイメージだからであろう。人間は出かける直前にいろいろと思いついてしまうことがある。やはり出かけるとなると、火の元や鍵閉めの確認も必要であるし、緊張感が高まる。その確認作業の過程で神経が昂ぶるので、普段は等閑に付しているところが気になってしまう。たとえば空のペットボトルが床に散乱しているのが気になって、それを片付けようと考えたりするわけだが、つまり、普段はペットボトルが露骨に散乱していても、あまり気になってないのである。ペットボトルというのはあくまで事例だが、放置しているタスクがわれわれにはたくさんある。出かける直前になって、普段は平気で放置しているタスクが義務のように浮かび上がってくることがある。時間に余裕があるときは掃除をしないで、時間が差し迫っていると掃除をするというのは、ADHDと括ることも可能だが、時間が差し迫るといろいろ思いつきでやりだすのは人類普遍とも言えるし、その程度が深刻であると「自分をコントロールできない衝動的な人間」とされる。普通の人間であれば、出かける直前にペットボトルが気になっても「優先順位」を考えてそのまま放置するのである。出かける直前にペットボトルを片付けたいと思って、それを本当にやりだしてしまうのは、人間的欠陥である。暇な時にペットボトルを片付けなくてはならないのだが、要するにつまらない作業なので、ペットボトルが散乱した部屋で暇人が暴れだすことがあり、そして、こういう暇人ほど、別のことで時間が差し迫っている時にペットボトルを片付けだすのである。優先順位がつけられないというのは前述したが、理性の崩壊と説明できるだけでなく、脳細胞の活動電位が高まることへの中毒性とも言える。俗に言えばテンションが上がるということだが、それだけを薬物依存症のように求めているから、物事の優先順位などどうでもいいのである。
かつて世間知らずは美徳とされていた。有村悠さんのような鈍感な人間が肯定的に見られる側面があったのである。箱入り娘にしておきたいという発想は古来からのものであるし、戦後社会では教育ママが男子に対してもいわゆる過保護として箱入り息子にするべく血道を上げていたのである。ソーシャルスキルを去勢するものであるから、昨今の社会では時代錯誤も極まりないが、こういう鈍い男子は悪知恵も働かないし、独善的な資質を持った母親にとっては理想的だったのだ。社会性のある善人だってたくさんいるので、世間慣れすると悪知恵が身について穢れるというのは必ずしも正しくないし、つまるところ神経症的な潔癖さの問題となるだろう。39歳まで無菌室育ちの有村悠さんを見れば、世間知らずは美徳であるどころか、戦慄するべきテロリストという側面もある。善人と悪人というのも多種多様であり、刑務所の囚人のマジョリティは知的障害者である。この知的障害者の群れはまさに知恵遅れであり、悪知恵の欠落により警察にすぐに捕まって刑務所の常連となる。このところ大企業が、法的に必要な基準を満たしていない製品を製造している実態が報じられているが、これなどは社会全般に胚胎し絶え間なく湧いてくる悪知恵である。バブル経済の頃の大手銀行も同じことである。この手の悪知恵に手を染めないためには有村悠さんのようになればいいという発想もありえるのである。ロンブー淳や西村博之のように社会的な悪知恵を体現した怪物に比べれば、有村悠さんの方がマシだというのが有村ママンの潔癖な考えなのである。もちろん、ごく普通に真っ当な社会人もいるのだから、こういう二択で考えなくてもいいだろうが、有村悠さん個人はだいたいロンブー敦や西村博之と似たり寄ったりの人間性であるし、悪知恵を身につけるか否かという二者択一になるであろう。悪知恵を巡って戦うのが社会の力学であり、そのせめぎ合いこそが人間とも言える。悪知恵を壊滅すべく知性を使う自由もある。それによって悪知恵が根絶やしにされることはなく、悪漢の一群が退場し、その隙間を縫うように別の連中が新しい悪知恵で台頭する不毛な戦いでもある。大雑把に善と悪は決まっているが、なんとも言えない灰色の領域こそが悪知恵の主戦場となるので、東京地検特捜部のように正義の英雄として一世を風靡して、いつの間にか悪知恵を働かす側に転じてしまうのも人間らしい光景である。このような血腥い俗物との生々しい闘いに参戦しなかったのが有村悠さんだが、東大卒エリートの悪知恵に高卒の有村さんが対抗するのは無理であるし、このまま無菌室で空疎な思想を振り回しながら、十年一日の如く生きていくしかないのであろう。
円周率を3で教えるというのは一種の誤解だったようだ。
(wikipediaを参考文献としてこのエントリーを書いている)。

内容の「B量と測定」の(1)のウ及び「C図形」の(1)のエについては、円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する必要がある。

ゆとり教育の頃の学習指導要領にこういう文言があり、実際に3で教えることはほとんどなかったらしいのだが、針小棒大に取り上げられて「誤解」を生んだようである。

そもそも3.14はほとんどの人が知っているが、円周率を本質的に理解している人がそう多いとは思えないし、結局は、突き詰めて考えると難しいので、噛み砕いて教えるということである。仏教で言えば、人それぞれの機根に合わせて説明するということになろう。

「円周率は3」にインパクトがあったのは、いくらなんでも噛み砕きすぎということであろうが、これは普段から噛み砕かれた説明を受容している人間に突きつけられたテーマだったのである。

円周率の3.14だけ暗記している人間と、本質を理解している人間の差というのがまず言えるわけだが、ここからさらに理解の断絶がありうるのである。
このところの高学歴社会においては、同じ専門家でもずいぶん優劣があることを痛感させられる。
適度な模範解答に納得できる素直な心の持ち主がずいぶんいて、こういうひとは、円周率の本質もそこそこ理解していたりするのだが、決して執拗には探求しない。
知能指数の違いなのか、性格の問題なのか、ともかく専門家だから緻密に理解しているとは限らない。

あるいは、優秀な弁護士が円周率を知らないとか、天才数学者が法律を知らないこともあろうし、噛み砕かれた答えで世界を把握しているのが人間の実態でもある。
2018.10.08

不安とは

不安とはなんぞやと、それを敢えて一言で言うなら、悲観的な感情ということになろう。先の見通しが悪いことに慄えるのである。「気持ちの切り替え」で済むこともあろうが、いくら楽観視しようが借金苦の男の債務が減じるわけではあるまい。現実そのものは変わらないのである。未来は不確定だが、だいたい現在の状態から予見できる。力への意思で勝利するという物語にしてしまうと、これは不安の問題を棚上げにしてしまうというか、やはり勝利の可能性が見えないときこそ不安に襲われるわけで、目処が立たない苦境を大前提にしなければならない。世の中には借金を踏み倒すのが当然という御仁もいるから、不安とは内面の個性の問題と言えなくもない。つまり極端な厚かましさ、図々しさ、無感覚の類である。たとえば蛭子能収のような人間なら、何があっても平気かもしれないが、そういう箍が外れた人間は念頭に置かず、不安は人類普遍だと語るべきなのか、ということである。プラス思考/マイナス思考という愚にもつかない論で筆を走らせるのは気怠いし、それをやるなら文弱と武人を対比させて、武人の肝の据わり方というか、不安になるような戦況を度胸試しとして捉え、死を目の前にしても揺るがない胆力を示すという物語を語った方がまだマシであろう。あるいは、現実はわれわれを中途半端に打ち漏らしてくれるので、あっさり命を散らすことも簡単にはできないから、落魄の身として憂いを生きることも厭わない境地である。蒼白い文弱としてその暗澹たる生活史を最大限に描きつくすのもありだろうし、荊棘のような煩悶は生身の人間として生きている限り途絶えることがなく、この大地における王朝絵巻として誰が本物の貴種で誰が賊徒かという内面的な闘争でもある。
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