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トランプが選挙中に「モスクを監視する」と演説する映像が発掘されているが、そもそもイスラムの悪口を繰り返しているのだから、いくらでもあるだろう。
カナダのケベックで起こった痛ましい事件は、当初はイスラムの人間と白人男性が逮捕ということで、どうもよくわからない感じだったのだが、イスラムの方は誤認逮捕であり、白人男性の単独犯行というのが事実であるようだ。
情報が錯綜しているだけに、トランプへの批判が集中しているわけではないが、ダメージであるのは間違いない。
犯人はフランス系カナダ人であり、3月に国民戦線のル・ペンがケベックを訪れて、それに感化されて極右になったとされる。
フランス大統領選では、世論調査でル・ペンが首位となっているだけに、責任が分散しそうなのがトランプには幸いであろう。
とはいえ、トランプの移民規制が犯行のトリガーになったのは間違いなく、これがなければ、AK-47を手にしてモスクでイスラムを六人撃ち殺すことはしなかったであろう。

こういう状態であるのに、国務長官がいないわけである。
上院でのティラーソンの承認がなされずに長引いており、まだ正式に就任できてないのだが、これは民主党が引き伸ばしているようだ。
共和党の造反者は0人の見込みであるから、上院で承認されるのは間違いないが、国務長官不在の状態が続いている。

なぜかティラーソンとブッシュの関係があまり報じられていない。
まったく報道されてないわけではなく、たとえばAP通信でも一応取り上げられている。

https://apnews.com/86d6631e5dcc4aaeb74ea95f4c992204
Former President George W. Bush, who has largely avoided politics since leaving office in 2009, heaped praise on Tillerson in a recent phone call to Sen. Bob Corker, the Tennessee lawmaker who will oversee the secretary of state confirmation hearings.
(略)
"Most people will look at that and understand that he's not outside the mainstream," said Corker, adding that George W. Bush was "effusive" in his praise for Tillerson when they spoke last week.


上院議員のBob Corkerのところにブッシュ元大統領(息子)から電話があり、ティラーソンを推薦してきたという。
この推薦電話についてはBob Corker本人がツイートしているので、記事に間違いはない。
またこの記事によれば、ブッシュはティラーソンをeffusiveに賞賛したというのである。
effusiveとは感情を剥き出しとか、感情にあふれるという意味だが、かなり熱心にティラーソンを薦めたのだろうと思われる。

また同じ記事の中で、ジェブ・ブッシュがティラーソンを賞賛していることも書かれている。
これはジェブ・ブッシュがツイートしているのをそのまま記事にしたものである。

Jeb Bush, Tillerson's preferred candidate in the 2016 race, called the Exxon executive a "good man and accomplished leader."


ジェブ・ブッシュはブッシュ元大統領(息子)の弟であるが、今回は大統領選に立候補していた。
ティラーソンはジェブ・ブッシュに献金して応援していた。

そもそも造反する共和党上院議員が0人と見込まれているのも、ブッシュから連絡が行っていると考えるのが妥当であろう。
トランプはティラーソンと接点がないし、いわば部外者として入閣するのだが、ブッシュのお友達であるから、ここに期待がかかっているのである。
トランプの横暴に対して共和党がおとなしいのも、とりあえずブッシュのお友達が国務長官になるまで待っているのである。

ティラーソンはベイカーとかなり昔からお友達であり、ベイカーがブッシュ父親の時に国務長官になったことで、ブッシュと縁ができたと思われるが、付き合いは相当に長いわけである。

チェイニーは父親の時に国防長官で、息子のときは副大統領だが、彼はルビオの説得工作に乗り出していた。
つまり、ベイカーとかチェイニーとか、ブッシュ父親の代から関わっている人間とティラーソンは接点があるので、共和党としては極めて信頼性が高い。
またトランプと接点がないことも保証されているのだろう。

もはや、ティラーソンに造反するどころか、このブッシュのお友達を政権中枢に送り込まないとまずいという考えは広がっているはずで、このお友達を入れてから、どうにかしようというところだが、なぜか民主党のせいで延ばし延ばしになっているらしい。
民主党も、当然ながら、ティラーソンがブッシュ人脈であり、トランプと親しくないことは知っているはずだが、プーチンがどうこうと難癖をつけて、粘っているようである。
トランプからしても、この人選のおかげで内輪揉めしない構造になっているので、早く入れたいところである。

たとえばこんな状況でも上院で共和党の代表であるMitch McConnellはトランプに好意的なツイートを続けている。
当初はルビオが外交委員会で反対すれば、それでティラーソンを蹴れるはずだったのだが、そこで承認されなくても、Mitch McConnellの権限で上院全体の採決に持ち込むという裏技が提示されたのである。
ルビオが反対しても無益なので、彼は白旗を上げたわけである。
そのMitch McConnellだが、彼の奥さんはElaine Chao、つまりトランプ政権の運輸長官である。
そしてこのElaine Chaoはブッシュ(父親)の時に運輸副長官であり、ブッシュ(息子)の時は運輸長官である。
つまり、奥さんがトランプ政権に入っているだけでなく、この奥さんがブッシュ(父親)とブッシュ(息子)の政権にいたから、おそらくブッシュに頼まれてティラーソンを強引に通そうとしたわけである。

こうやってブッシュからの強い推薦があるからこそ、トランプと親しくないティラーソンは国務長官への就任を妨害されているのだと思うが、とりあえずこのお友達をいれれば、多少は落ち着くと思うので、民主党はこれ以上の引き伸ばしはやめて欲しいものである。
トランプをクレイジーだというのは容易いが、本当にそうであるなら当選はしていない。トランプは超人である。イスラムに不満がありながら口を噤む偽善社会にトリックスターとして登場したからアメリカ大統領になった。今回のような強硬姿勢を見せるというのは、人類の偽善に問いを投げかけているのである。トリックスターは欺瞞を暴き立てるために、たとえば悪役を演じてみせる。トランプはキリスト教右派ではないし、イスラム憎悪の思想犯ではない。あくまでわれわれを試している。悪役を演じてみせてわれわれの反応を見ているのだ。イスラムの悪口など言ったら著名人は無期限謹慎であろうし、場合によっては殺害されてもおかしくない。いずれイスラム教徒はキリスト教徒の人口を超えるのに、この宗教はタブーとなっている。トランプはこの禁忌をあからさまに晒し上げているのである。キリスト教徒の白人層が心の底で受け入れ難いと思っているイスラム教徒を露骨に排除してみせるのは、キリスト教への挑戦という側面も含んでいる。あるいはマイノリティ問題に広げてもいいが、そもそも著名人にとってトランプ支持がタブーなのである。トランプを支持したら、人権団体がスポンサーにクレームを入れるであろうし、人生が終わりなのである。支持するだけで人権問題になるのだから、トランプに反対する連中の発言が真実なのか偽善なのか判然としない。著名人はビジネスで反対しているとも言えるのだ。本当に心から反対しているかどうか疑わしい。義を見てせざるは勇なきなりという心境で空港に駆けつけた人もいるだろうが、これは一時的に惻隠の情を催したのであろうし、衆生済度の理想主義に目覚めた魂がいつまで燃えるのかはわからない。彼らが生涯通してイスラム教徒と共存する気があるのかどうかは判然としない。本気でイスラムと分かり合える人がたくさんいるなら、トランプは当選していない。ヒラリーはカリフォルニア州とニューヨーク州で極端な圧勝をしているが、田舎ではほとんど競り負けている。縹渺たるラストベルトで鬱屈している白人にスポンサーなど付いてないから、ポリコレなど簡単に投げ捨てられる。ただの民草にとって人権問題など打ち捨てるべきものである。トランプがツイッターで煽っているのも興味深いところであり、一般人であってもトランプにリプを送ることは出来るのだ。トランプはリプを見ないであろうが、世界の誰かは見るであろう。あたかも人類で討論会をやっているような雰囲気であり、こうやって同時代人と居合わせて、そこに投げられるトランプの難題は、あたかも眼前で発せられ耳朶を打つかのようであり、われわれは差し迫った状態で懺悔や信仰告白、もしくは異質な文明との対決を求められている。イスラム教徒で科学部門のノーベル賞を貰ったのは数人しかいないはずである。彼らの大半は近代科学を拒否していると言ってよく、まさに異人である。異質性がただならぬものだから、こうやって悪魔に取り憑かれたようなトリックスターが現れたのだが、トランプは決して頑迷固陋な宗徒ではなく、世界に向けて一芝居打つために具現化した歴史的人物であり、人類に試練を与えるゾロアスターなのである。
https://www.congress.gov/bill/114th-congress/house-bill/2802
Prohibits the federal government from taking discriminatory action against a person on the basis that such person believes or acts in accordance with a religious belief or moral conviction that: (1) marriage is or should be recognized as the union of one man and one woman, or (2) sexual relations are properly reserved to such a marriage.

Defines "discriminatory action" as any federal government action to discriminate against a person with such beliefs or convictions, including a federal government action to:

alter the federal tax treatment of, cause any tax, penalty, or payment to be assessed against, or deny, delay, or revoke certain tax exemptions of any such person;
disallow a deduction of any charitable contribution made to or by such person;
withhold, reduce, exclude, terminate, or otherwise deny any federal grant, contract, subcontract, cooperative agreement, loan, license, certification, accreditation, employment, or similar position or status from or to such person; or
withhold, reduce, exclude, terminate, or otherwise deny any benefit under a federal benefit program.
Requires the federal government to consider to be accredited, licensed, or certified for purposes of federal law any person who would be accredited, licensed, or certified for such purposes but for a determination that the person believes or acts in accordance with such a religious belief or moral conviction.

Permits a person to assert an actual or threatened violation of this Act as a claim or defense in a judicial or administrative proceeding and to obtain compensatory damages or other appropriate relief against the federal government.

Authorizes the Attorney General to bring an action to enforce this Act against the Government Accountability Office or an establishment in the executive branch, other than the U.S. Postal Service or the Postal Regulatory Commission, that is not an executive department, military department, or government corporation.

Defines "person" as any person regardless of religious affiliation, including corporations and other entities regardless of for-profit or nonprofit status.


副大統領のマイク・ペンスが中絶反対の集会に出たというニュースがあったが、これからこういうキリスト教右派の活動はかなり行われると思われる。

First Amendment Defense Actという法案があり、これがちょっとややこしいのだが、「結婚は男と女でなされるべきだという宗教的信念を持つ人を差別してはならない」ということである。
つまり、率直に言うなら、同性婚に反対する自由、ということなのだが、回りくどい言い方になっている。
2015年にこの法案は通らなかったし、また当時はインディアナ州の知事だったマイク・ペンスも似たようなのを自分のところでやろうとして失敗している。

この法案はトランプが通すと明言しているので、100パーセント確実に行われるであろう。
トランプ自身はこの政策に興味がないはずだが、マイク・ペンスやキリスト教右派への配慮から、そういう公約をしているのである。

この法案が通れば、同性婚を批判する人間に対して、「ポリコレでない」と言って排除することは出来なくなる。
日本人はアメリカの真似をすることが好きなので、LGBTを応援してきたわけだが、これには逆風が吹くわけだ。
LGBTに寛容であるのがオバマ政権であったが、トランプ政権では逆の立場であるし、特に副大統領のマイク・ペンスの強固な信念であるから、かなり徹底して行われる。
LGBTに不寛容であるのがこれからのアメリカ。
アメリカをお手本にするのであれば、LGBTに不寛容であるべき。
同性婚に反対する自由は最大限に認められなければならない。
in accordance with a religious belief or moral convictionということであるから、宗教的信念だけでなく、道徳的な信念があれば、同性婚に反対する自由はある。
2017.01.26

蟻族

「中国絶望工場の若者たち」福島香織
蟻族と第二代農民工の根っこは同じだと、私は考えている。
農村で期待され勉強をしてきたが途中で挫折したのが第二代農民工、勉強ができて大学まで進学したけれど就職で挫折するのが蟻族。
その思考や行動パターンはよく似ている。

わたしは中国の若者事情に知識があるわけではないので、おおむね前掲書の大意をなぞるにとどまるが、中国でも高学歴ワープアの問題があるようだ。「蟻族」は平均より下くらいの家庭環境の出身であり、それなりの高等教育は受けているが、エリートのなり損ねと言うべき連中である。高学歴化が生み出した中途半端な存在であり、肉体労働は当然のごとく忌避する。彼らは裕福ではないが、ネットのブロードバンド回線だけは確保していて、それを最優先する生活をしている。こういう依存症が中国のネットを動かしている、らしい。また「農民工」と呼ばれる連中は高学歴ではないし、明らかな貧困層であるが、教育に活路を求める親の意向もあって農村から脱出しようとしていた。貧困の農民の家庭からそんなに立身出世できるとは思えないから、このような高学歴のなり損ないがたくさんいて、プライドだけは高いから、ここにも肉体労働の忌避は伺える。昨今では日本でも大学無償化の声が高まっているが、人間の半数は知能指数100未満なのだから、ろくなことにはなるまい。高卒というのは、お情けで卒業証書を与えられている連中が多々いるわけだから、高卒なら誰でも無償で大学進学というのは疑問が持たれる。優秀な高卒であれば、公務員試験などもあるわけだ。落ちこぼれの高卒だから大学進学というのは本末転倒であろう。いずれにせよ、かつてはきつい仕事をやっていた中国人も最近の若者は音を上げるようだ。なにしろ全員がエリートになるとかありえないから、都市部で雲霞のごとく挫折者が溢れかえるのは論を俟たない。決して学問への情熱に目覚めたわけではないから、文芸復興云々とは程遠く、むしろ教養は徹底的に排した上で、実学的なキャリア形成を望んでいる。数学や物理が出来るなら話は簡単だが、そうでない人間は何を学んだらいいのかわからない時代でもあり、むしろ理数系以外はすべて廃止したらどうかと思うくらいだが、ひとつの観念として、教育に希望が託されているという変な状況なのである。
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これまで共和党の上院議員の中で、マケインとグラハムとルビオがティラーソンに難色を示していたので、承認されるかどうか危ぶまれていた。
この三名が揃って造反すると、ティラーソンは上院で拒否されてしまう。
だが、現地日曜日にマケインとグラハムがティラーソン支持の共同声明を出したので、よほどのことがない限り、ひっくり返らない。

上院全体での承認の前に、外交委員会でのプロセスがあり、これはルビオ一人の拒否で覆るのだが、どうやらここで否決されても差し支えないらしい。

http://www.newsmax.com/t/newsmax/article/769701?section=Politics&keywords=bob-corker-rex-tillerson-state-department&year=2017&month=01&date=20&id=769701&aliaspath=%2FManage%2FArticles%2FTemplate-Main&oref=t.co
According to the Examiner, Senate Majority Leader Mitch McConnell would bring Tillerson's nomination to the Senate floor for a vote even without a majority vote of the foreign relations panel. Tillerson would need 50 votes to be confirmed.

委員会で否決されたとしても、上院多数党院内総務のMitch McConnell(共和党)の権限で、上院全体の採決に持ち込めるようであり、そこで承認されれば問題ない。


https://www.washingtonpost.com/politics/will-marco-rubio-defy-president-trump-on-his-pick-for-secretary-of-state/2017/01/22/433c0968-af0d-4a60-a09f-31ce93724164_story.html?postshare=551485133568827&tid=ss_tw&utm_term=.ca4c2ade9315
Rubio held an unannounced meeting with Tillerson last week, according to two people with knowledge of the get-together, although it was unclear whether Tillerson was able to alleviate Rubio’s concerns.
Now-Vice President Pence and now-White House Chief of Staff Reince Priebus were also in the meeting, according to a Rubio adviser familiar with the gathering. It lasted 90 minutes and was a blunt conversation not just about Tillerson’s answers at the hearing, but also about Rubio’s overall concerns about Russia and other matters, said the adviser, who spoke on condition of anonymity to describe the private talk.

先週ルビオは、ティラーソンと非公式の会談を行っている。
副大統領のマイク・ペンスと首席補佐官のプリーバスも同席したという。
この話し合いは90分に渡って行われた。
それでもまだ折れてないのである。

今となっては、マケインとグラハムの支持が得られたので、ルビオが否決しようが構わないのだが、予備選の最初の頃は最有力候補だっただけに、この政治勘の悪さたるや唖然とする。
ルビオ周辺の人間はこぞって、ティラーソンを支持するように説得しているそうだ。

ティラーソンはJames Bakerとかなり古くからの友人である。
James Bakerはレーガン政権で首席補佐官、ブッシュ(父親)政権で国務長官を勤めているが、ここでティラーソンとブッシュの接点が出来たと思われる。

トランプ陣営としては外交が人材難であり、せいぜいジュリアーニやギングリッチしかいないから、一時はロムニーを候補に挙げていた。
トランプ側近がロムニーにかなり拒絶反応を示し、そのタイミングで、ライス(ブッシュ息子時代の国務長官)がティラーソンを推薦してきたのである。
トランプ側近は一気にティラーソンに飛びつき、即決で決まったのである。

他の推薦人としてはゲーツ(ブッシュ息子時代の国防長官)がいる。
またルビオに直接働きかけたとされるのはチェイニーである。
チェイニーはブッシュ父親時代の国防長官で、ブッシュ息子時代は副大統領と、たいへん縁が深い。
これが報じられたのは12月半ばだが、この説得は実らなかった。

外交委員会の議長であるBob Corker上院議員は、ブッシュ元大統領(息子)が直接電話でティラーソンを推薦してきたとツイートしている。
ティラーソンは今回の大統領予備選ではジェブ・ブッシュ(ブッシュ息子の弟)に献金しており、ジェブ・ブッシュもティラーソンへの支持をツイートしている。
またラムズフェルド(ブッシュ息子時代の国防長官)もティラーソンを賞賛するツイートをしている。

ちなみにマケインは、今回のティラーソン支持表明のついでに、ジェームズ・マティス(国防長官)、ダン・コーツ(国家情報長官)、ジョン・F・ケリー(国土安全保障長官)、マイケル・フリン(国家安全保障補佐官)の四名を絶賛している。
トランプ自体には疑問を呈しながらも、閣僚の人選は素晴らしく、勇気づけられる兆候であるとした。

マケインは不満分子となることをうまく避けたと言えるが、ルビオはここからどういう選択をしても厳しそうである。
そもそもトランプはティラーソンについてよく知らんだろうし、これだけブッシュ周辺が総出演しても、プーチンがどうこう言っているのでは大義がない。
ニューヨーク・タイムズの記者がルビオの靴底が高いのを写真に撮り、嘲るツイートをして話題になったことがある。
トランプをレイシストだと叩いている連中が、ルビオの身長を馬鹿にするのはさすが左翼というところだが、ルビオが人間として小さいのも確かだ。
石原伸晃とか、あのあたりの短気な小者を思わせる。
コミュ強が本能的にやっていることを活字に起こそうというのだから、現実そのままの写し絵のようには書けないが、雑に言うなら、「だよね」みたいな感じで同意(共感)を求めるのがコミュニケーションなのである。相手が同調してくれると勝手に決め込んでいるのだから、一方的であるようにも思えるが、これこそが共感性なのである。われわれは他人を説得しないことにしている。理詰めで説き伏せようとすると、正しいがゆえに拒絶されてしまう。なぜ正しいことが拒否されるのか不思議だが、おそらく共感性が足りないのであろう。「だよね」と同意を求めるのは、大げさに言えば同調圧力を掛けてるのだし、あまり理が通らない気がするのだが、こちらの方が据わりがいいようである。A案の持ち主を説得して、B案に意見を変えさせるのではなく、「やはりB案ですよねえ」と当然のような顔で同意(共感)を求めると理解を得られることもある。相手をA案の首魁と見なして、それを論破してやろうと意気込むと、非論理的な抵抗に遭うので、相手が最初からB案の持ち主であるかのように見なして、共感を求めるのである。われわれとしても、相手から同意を求められると、なんとなく頷いてしまう。創価学会が嫌いでも、「創価学会みたいなのも必要ですよねえ」と言われたら、「ああそうですね」と答えてしまう。もちろんどうしても許しがたいものはあり、池田大作だけは許さんと、空気が凍るのも厭わず目を眇めてみせるかもしれないが、たいていは同意(共感)を求められると、なんとなく同意してしまう。問題の重大性にもよるし、普段は「だよね」で話を合わせている家族が、相続争いで血みどろの争いをすることだってあるから、万能の武器ではないであろうし、それなりの仲間意識、もしくは無難にやり過ごしたいという意識は必要であろうが、同意(共感)を求められると、違うなと思ってもなんとなく頷いてしまう心理があるのは確かだ。「勝手に決めるんじゃねえよ」と言いたくなることもあるだろうし、実際に口に出して文句をつけることもあるだろうが、それを言わせないのがコミュ強なのであろう。
他人に憑依することが出来たなら、その人の人生の課題を解決してあげられるかもしれない。われわれにとって超えられない壁は、個人的な恥であることが多いからだ。いわゆる公然の秘密というものだが、丸わかりでも隠しておきたい問題である。他人に憑依出来るなら、その人間のつまらない恥など脇に差し置くことが出来るし、粛々と他人に向き合える。弁護士が代理人になるのは、その粛々とやる行為のひとつであろう。仲間の助太刀ではなく、しがらみのない無個性な人間として本人を代理し、その戦果は本人に帰属するわけである。とはいえ、いつもいつも弁護士に頼んで機械的な対応をしてもらうわけにはいくまいし、当人の自我の欲求を捨て去っていいものであろうか、という問題もある。そもそも弱さという深刻な悩みを些事として却けるのは人間的ではあるまい。代理人として弱者に憑依出来るなら、その弱さは他人事なので、平然として自分が弱いと認め、弱いからどうしたと、人を食った対応だって出来るであろう。おそらく弱さというタブーこそが人間なのであろうし、これを公然の秘密としてデリケートに扱い、もしくは暴かれることに耐えるのが人間世界である。もしくは、そのタブーを捨てて開き直るのであれば、自らの手でプライドを捨て、筆硯を新たにし、自分で次章を書き綴るしかないのである。他人に憑依して、邪魔なプライドを捨てた上で、合理的行動をしてあげるとすれば、それは主体性の死であろう。暗澹たるまがまがしさが深く根を張って身動きが取れない状態こそが人間なのである。われわれは弁護士を代理人として雇ってドライな解決をすることもあるが、では大人たちがプライドを捨てて人生の諸課題に粛々と対応出来ているのかというとそれは疑わしいし、轢死体さながらの廃疾であるのにまだ生体反応があり、失くしたものへの未練に囚われ、賽の河原で小石を積み上げるような無為に身をやつし、人間最後はプライドしか残らないという状態になってしまうのがありがちな末路である。
「ディスレクシア入門---「読み書きのLD」の子どもたちを支援する」加藤 醇子
英語の読み書きを習得するためには、日本語で必要とされるものより小さな音の粒に気づくことができ、音と文字の複雑な対応関係を覚えることができなければなりません。日本語の音の粒の気づきに問題があれば、英語の読み書きはよりいっそう難しいと予想されます。また、読みの障害が軽度な場合、日本語ではあまり目立たないけれど、中学での英語の学習が著しく困難になって初めて読みの問題に気づくということもあります。


漢字は表意文字、つまり文字そのものが意味を表しているから、英語圏と比べてディスレクシアの問題が少ないとよく言われる。
これは大雑把には正しいようである。
ディスレクシアにとって漢字のほうが読みやすい。
だが、あくまで、漢字なら辛うじて読めるということなのだ。
アルファベット26文字の組み合わせとなるとディスレクシアにはお手上げだが、漢字なら見当が付くのでなんとか読めるらしい。
漢字はスラスラ読めると考えているとしたら誤解であるようだ。
四苦八苦して漢字を読むことは出来ても、正確に書くことは困難であるようだ。
小学生の間は騙し騙しどうにかなっても、中学に入って英語をやらされるとまったく読めなくてディスレクシアが発覚することもあるという。

ディスレクシアの原因はいろいろあるが、音韻の理解の弱さが、この本では指摘されている。
音韻の理解の仕方を指導することで改善を図るようだ。

音韻意識(音韻認識) phonological awareness
ことばを構成する音の単位に気づくこと・わかることをいいます。単語を構成する音の順序がわかり、その順序を変えたり、1音を削除して言ったり、単語を逆から言うようなこと(音韻操作)ができることも意味します。音の単位には、音節、モーラ、オンセットとライム、音素などがあります。日本語では、例えば「ねこ」が「ね」と「こ」からできていることがわかることを指します。音韻意識は読み習得の土台として重要な役割を果たします。


では、そういう指導でスラスラ読めるかというと、そうはならない。
この本ではAO入試で大学に入ることが成功体験として示される。

担当の言語聴覚士は、そのようなIさんに必要なことは、ICT機器を活用し、自分で読み書きの代替手段を使いこなしていくスキルを身につけることだと考えました。そこで、PCの読み上げソフトでPDF化した本を読み上げることや、iPhoneを活用して読み書きをする方法を実際に見せながら説明しました。そして、大学受験は真正面から難しい試験にぶつかるのではなく、読み書きがあまりない入試方法を選んでうまく通り抜けることを勧めました。まずは大学に入学することが大切で、その後のことは大学の学生支援室などに相談しながら進めていけばよいと考えたからです。それを踏まえて、Iさんはある大学のAO入試に挑戦しました。それは「小論文を自宅で書いて提出する」「その小論文について面接を受ける」という入試で、その結果は見事に合格でした。

このような子育てのおかげで伸び伸びと育ったJさんは、小さい頃からの夢である建築家を目指して、ある大学のAO入試を突破し、入学後は大学側と相談しながら必要な支援を受けて、大学生活を満喫しています。

大学は論文と面接だけの推薦入試で合格しました。入学後、英語はテキストのほとんどすべての単語を辞書で引いて内容を大雑把に理解して試験をパスしました(幸い1年間で読むテキストの頁数は数枚でした)。漢字も専門科目での用語は限られるので、覚えてしまいました。


読み書きができないのに大学進学してどうするのか、という疑問も浮かんでくる。
ポリコレ的にはディスレクシアの知性を延ばすためにサポートしていくということになるのだろうが、文字認識ができない段階で、どこかしら限界はあるだろうし肉体労働者の方が向いている。
肉体労働を蔑むとすれば、それもポリコレ的にまずいであろう。

肉体労働は誰かがやらないといけない。
医者と肉体労働者が対等とは言うまいが、医者になりたい人はたくさんいるし、むやみに増やさなければ質も落ちないであろう。
だから医者はさほど偉くない。
むしろ肉体労働者の方が必要であるとも言えるのだ。

ディスレクシアとの告知を受けて、予想はしていたけど泣いてしまったという中学生もいましたが、頭が悪いわけではない、自分のできる力を発揮して努力しよう、原因がわかってよかったという場合が、どちらかというと多いようです。

最近、大学入試センターで配慮申請ができるようになりました。別室受験、試験問題の拡大コピー、試験時間の延長など、必要な条件を申請書に従って配慮依頼できるようになりました。


教育者として、ディスレクシアを善導し大学進学させるのが目標らしい。
ガテン系みたいな職種の事例はひとつも書かれていない。
だいたい文字を読むのに四苦八苦して、書くのはなおさら苦手であるようだから、彼らを「理解」するとしても、事務作業が少ない職業で、事務の部分は免除してあげるくらいしかないだろう。
知的障害者ではないのに読み書きができないことで自尊心が傷ついているのはわかるとしても、やはり中卒レベルの学力だと考えるのが妥当であるし、身体を鍛えたほうが手っ取り早い気がする。
おだてることで粗製乱造されるのは「偉い人」である。不細工を美人だと褒めても美人にはならないが、「偉い人」なら可能である。われわれ人類は文明初期に社会契約など交わしてないし、社会が「偉い人」を中心とした身分制度から始まるのはそういうことだろう。おだてられても嬉しくないという人はごく普通にいる。おだてられて喜ぶかどうかは、おそらく多動性と関係しており、衝動的な性格傾向の問題である。衝動性と自己愛はなんとなく関係があり、やはり勘違いしている人間は焚き付けやすい。落ち着きのある聡明な人間をお世辞で動かすのはかなり難しい。天高く胴上げされてコンクリートの地面に打ち付けられるのはよくあることだし、相手の卑しい底意に察しがつくなら、嬉しいどころか警戒しなければならないし、不愉快にもなる。ではなぜ、おだてるという行為が横行しているのかといえば、おめでたい馬鹿がたくさんいるからだろう。他人が現実であり、現実が他人である。褒め言葉はすべて真札とも言えるので、輪転機をどれだけ回してもいいのだろうし、「勘違い」が対人関係に根を張るなら現実そのものである。おだてるのでもベクトルがいろいろとあり、おめでたい馬鹿から金銭を騙し取るのが目的であることもあれば、「用心棒」として使うこともある。おだてる側はボスではないので、用心棒がボスであるという状態が生じる。清原和博と元木大介の関係がわかりやすいが、清原は用心棒とボスを兼任している覇王である。おだてられることに飢えている人間は多々いるわけで、腕力や武力を恃みにされて戦いに駆り出されるのは嬉しいことなのである。そうやって気が大きくなって自己愛が膨らんだ状態こそが、本人にとっては快楽なのであろうし、おだてられて不愉快などとは寸毫たりとも思ってない。こういう御仁に「おだてられて操縦されている」とか指摘しても無意味である。ボスとして民衆の膏血を啜り、栄耀栄華を極めることだってあるのだから、本人にとってマイナスとは断定できず、そういうボスが世の中のいたるところにいて、利益を得ているのも事実だ。このような快楽主義者がいろいろと勘違いした結果として、覚醒剤に手を出して刑務所に行くこともあるだろうが、そうなるとは限らないから、有頂天になった人間を止めることはできない。おだてられて勘違いする衝動的な自己愛人間がボスになるのであるから、文明初期の建国神話は数多の文飾がほどこされた英雄崇拝となるが、現実に辿る歴史が惨憺たるものとなるのは論を俟たない。
インチキの臭いを嗅ぎ取った時にそれを口にするのは品性のある態度ではない。そもそも何か変だと思っても、相手のプライバシーに踏み込んで捜査する権限などないのだから、真偽をはっきりさせることも出来ないから、想像で察するしかない。「なんかおかしいのでは」と思っても、察した人は黙っているし、察しの悪い人は騙されたり、もしくは手品師に向かって「これは手品だ」と言い放つような子供染みたことをやってしまう。件のbaoという子どもは、茂木健一郎とか、あのあたりの文化人のプロデュースなのであろうし、広義にははるかぜと同枠だが、ネットで炎上狙いではなかろうし、旧媒体の手法という印象である。またbaoははるかぜより遥かに自己啓発の色が強そうである。はるかぜはババアが無計画に代筆して発散していた事例であるから、粗忽な毒親が猛け狂う様子を見せていただけであり、杜撰極まりなかった。なぜかITmediaの岡田有花が引っかかったので、まったくビジネス的な繋がりがないのに提灯記事を書くという事案が発生し、意外と人気者になったが、岡田有花は京都大学卒なので、恵まれた人間である可能性が高く、家庭環境に難のある問題児と接したことがないのであろう。このところは女になにか言うだけで警察がやってくるから、物言えば唇寒しであるし、岡田有花に罵詈雑言を吐いたり蔑称を投げつけることは差し控えるが、「はるかぜちゃんの方が大人だよ」とか煽られてわれわれはとても不愉快であった。はるかぜとbaoはタイプは違うとは言え、同じジャンルであるから、数日前にはるかぜババアがbaoに上から目線のアドバイスをする形で難癖を付けていたが、baoがいようがいるまいが、はるかぜは賞味期限が切れている。同じ「天才」であっても、はるかぜは一万冊の本を読んだとか、そういうインテリ設定だったから、中学の勉強さえ落ちこぼれで、高校は通信という事実により化けの皮が剥がれた。baoはもっと観念的なポエムでやっていくであろう。はるかぜが社会派(笑)であるのに対し、baoは意識の高さを謳い上げるスピリチュアルなポエマーという棲み分けは可能であるはずだが、はるかぜ娘はもう高校生であるし、いろいろ露呈したので難しい。おそらく自己啓発というものは需要があり、嘘でもいいから縋りたい人達がいる。学歴社会の落ちこぼれに対して、別のキャリアパスやライフスタイルを提案することが求められている。美人と不細工、のっぽとチビ、スポーツマンと運動音痴、豪邸とあばら屋、こういう格差だらけなのに、知的能力だけは平等でなければならないらしい。整形に関しては、受け入れ難い人もいるだろうが、やろうと思えば可能である。骨端線が閉じる前ならメッシのように薬で身長を伸ばして、不正だと言われること無く、バロンドールだって取れる。身長を延ばすのは自費だと年間200万円程度らしいが、そこそこ余裕のある家庭なら払えないわけではないだろう。だが、やはり教育が最優先であり、身長は後回しだ。それに整形なら税金で補助など出来ないし、ホルモン治療も先天的な障害を除いては同様である。教育なら無料が理想らしくて、文字さえ読めないのに大学を無料にしろとか騒ぐ馬鹿もいる。なにもかも不平等であるのが人類の特徴であるのに、教育論で差を縮めようとするのだ。格差について語る時に教育論だけするのは、かなり偏りがあると思う。教育というのは、この地獄の囚徒の前に垂れ下がっているただ一本の蜘蛛の糸であるらしいが、整形手術や成長ホルモンの話は前述したし、サイボーグのように動き回れるメッシが批判されてないのも事実だ。とはいえ教育論は点数の付け方も含んでいるから、これは自己承認の問題だけでなく、大企業の正社員になれるかどうかの死活問題でもある。これについては書くと長くなるし、そもそもわかりきった話だから筆を省く。はるかぜはおそらく特殊な炎上物件であり、baoみたいなポエマーは自己啓発の市場ではこれまでもいろいろといたのだろう。それに感化されたとして、出来損ないがさらに出来損ないになるのがオチだが、ファンタジーに憑かれて生きていたい人がいるのだろうし、われわれがその妄執を解く義務はあるまい。安易に引っ掛かる人がいると困るので警鐘を鳴らす必要はあろうが、欠陥があるからにはそれを埋め合わせる特別な才能が与えられているというスピリチュアルな発想の持ち主が厳然としているのだし、この飢え渇く業病が重篤であるなら他人が口を挟んでどうなるわけでもない。
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