Archive
神経症という言葉が死語になったのは、DSMの名付け方の問題ではなく、根本的にこのようなメンタリティが社会から消えつつあるからである。
現況と反りが悪い強迫観念を抱いているような存在の在り方が認められなくなった。
これは社会の流動性の問題でもあるし、一昔前であれば決まりきったことしかやらない義務感の強さが高く評価されたのである。
合理性がないことでさえ、義務であるとして徹底的にやることが求められた。
反復強迫とは、どれだけ空回りしても義務を実行することであるし、遺骸に絡みつく亡霊であり続ける不合理さこそが人間ということだったのである。

精神的に抑圧されることがなくなった2017年現在になってもまだ怒り狂っているのは、神経症的な義務に囚われる美学に酔っている時代遅れであるか、そうでなければアスペルガー症候群の類であろう。
頻繁に怒り狂う人は、状況の変化に対して、頭と心を整理することが出来ない。
あらかじめ決めた予定が究極の目標という認識をしているのである。
そういう義務感に満ちた認識は、今日においては正しくない。

怒りの頻度が高い人は、神経症的に未来を決め込んでいる。
これは賢明さから極めて遠い状態にあると言える。
何かしらマイナスの出来事が発生したら、その塵芥は夙に壊死したものと断念し、社稷墟となるにまかせ、新たに蚕食すべき大地を検索し思考を這わせる、もしくはあらかじめ考えておかなければならない。
殉教に値する信念などこの世にはないのだから、理想にそぐわないとして怒る理由などまったくない。

気持ちを切り替えるという言い回しがあるが、神経症という拘束具が外れた現在では、たいていの人はそれができる。
局面が変わったなら、その状況を把握して、自己認識と世界認識を組み直す必要がある。
空間は曲がるそうだが、世界も曲がる。
世界は固定ではないし、自己を枉げるとそれに応じて変化するのである。
元の発言は見つからないが、というより、探す気力は微塵もないが、東浩紀が「自分に擦り寄ってきて、後足で砂をかけて去っていった人間は数え切れない」という趣旨の発言をしていたことがある。必ずしも宇野常寛のことだけではあるまいが、そもそも東浩紀の頭の中はジャック・ラカンの知識しかないから、誰しも教えてもらうことがない。文化人サークルへの入り口として門をたたくだけであろうし、用が済んだら立ち去るのであろう。

われわれは他人からの好意はあまり嬉しくないのである。親切な人も「ゴルフを教えてやる」とか大きなお世話であることもあるし、下心が見えたり、それに、好意はいつでも引っ込められるカードなのだ。好意の釣り針に引っかかったが最後、なにかあるたびに「失望しました」とか鉤針で抉られるし、アンチ化せずに無関心になって去ってくれればこちらの手傷が浅いという具合であるから、疑似餌に惑わされる代償は大きい。

こういううわべの好意と比べると、岩崎友宏が冨田真由さんに執着しているのは真剣そのものに思えるが、永遠の愛を誓うのは岩崎友宏のように誰からも相手にされない人間だけであろう。門前払いされた数多の経験から怨み骨髄に徹してるだけである。

相思相愛というのは、お互いのレベルが一致した状態である。そしてお誕生会で和気藹々とやるのである。何らかの事情でランクが落ちたとすれば、お誕生会に呼ばれなくなる。もしくはその主役が落ちぶれたら、お誕生会が寒々しく閑散とする。相思相愛は美しいように見えるし、ランクの高い人間が転落するのはそう頻繁にはないので、破綻することも少ないが、とはいえ、頻度は低いにせよ、転落することも時たまあるので、相思相愛の無慈悲が顕わになる光景に出くわすわけだ。恋愛の相思相愛にしても、美男美女は頻繁にくっついたり離れたりしているのである。

このように取り留めもなく語った文章において、最後に筆者のスタンスを記すことで体裁を整えた方が論考としては据わりがいいし、文章の骨組みとして可読性が上がるのであろうが、ただあるがままに空疎なお誕生会があり、門前払いされたり、素知らぬ顔で侵入してくる輩がいるというだけなのである。

物事の重大性から言えば、冨田真由さんを滅多刺しにした岩崎友宏こそ最悪であり、「東浩紀さんのファンです」と言って敷居をまたいで、一通り用が済んだらあれは嘘だったと去っていく宇野常寛のほうがまだマシであると言うのが常識的は妥当であろう。獄舎につながれる囚徒でさえ、量刑の違いがあるわけである。囚人服を着ているから全員が同一というわけではない。

だいたい好意とか愛は胡散臭く、そう気安く受け取るべきではない。もしくはアバンチュールとして楽しんでもいいのだし、津田大介が近づいてきたら大喜びで乱痴気騒ぎして翌朝はゴミ箱に投げ捨てられる女もたくさんいるわけだ。いずれにせよ、すべての好意については見極めが必要なのである。
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

ukdata

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング