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2022.12.17
勉強すると別の人間になってしまう
勉強嫌いについて考えてみる。ここで想定するのは、本当に頭が悪いわけでもないが、勉強したくない人のことである。そこそこの知力はあり、やろうと思えばできないことはないが、それでもやらない。その大きな理由として、勉強時間は異物であり、自分自身の時間ではないというのがある。自分自身ではないものに時間を奪い取られるわけである。あるいは、一念発起して猛勉強というのがあるが、これはおそらく、「新しい自分」の運命として引き受けたということだろう。経理の勉強に拒絶反応を持っていたひとが、新しい人間に生まれ変わろうと一念発起して、経理の勉強に没頭するような具合である。逆に言うと、「今の自分」を反芻するためには勉強してはいけない。勉強とはそういうものなのである。ペリーの黒船みたいなものである。日本人は西洋文明を受け入れて新しい自分に生まれ変わろうと決断して猛勉強したわけであるが、こういうときには拒絶反応もあるわけだ。西洋文明と剣術を両方やるわけにはいかず、西洋文明を身につけるためには刀を捨てる必要がある。大昔の話ではなく最近のことでいえば、Windows95の頃は、パソコンを拒絶する中高年の姿が浮かび上がった。パソコンで人間が生まれ変わるというと大げさだが、パソコンという黒船を拒否した中高年は多数派であり、現在の80歳くらいの高齢者はパソコンを使えないのが普通である。パソコンを使いこなせている80歳はなんか普通とは違うオーラがある。通俗的に言えば、頭が固いとか柔らかいということだが、おそらく人間観の問題である。パソコンの難易度はそんなに高くないわけで、毛嫌いせずにやってみればできるわけだが、生理的な拒絶反応というか、黒船に対する態度の違いである。パソコンを使える80歳と使えない80歳は別の人種みたいなもので、やはり勉強すると人間は変わってしまう。勉強嫌いな人は怠惰という一言では片付けられない。
2022.12.11
影山優佳はすごいのかどうか
サッカー番組に女性タレントが出てくると、普通はうなずき役であり、話を聞いて「へえ」とか感心するだけの立ち位置である。日向坂の影山優佳は自分でかなり調べているので、周囲が「へえ」と感心するわけである。こういうのが出てくると、他のタレントはサッカー番組で出番がない。影山優佳はサッカー番組に出るから予習してくるのではなく、ライフワークとして調べている結果であろうから、「他のタレントはもっと勉強すべき」と言っても的外れだが、ともかくそういうことである。冷めた目で見れば、男子ならこれくらいのサッカーオタクは普通にいるとは思うし、女子がサッカーについてこれだけ徹底して調べていることが珍しいだけ、という言い方も可能ではある。アスペ男性ならオタク的な知識を溜め込んでいるのはいる。影山優佳はコミュニケーション能力がある女性アイドルでありながら、探究心を持っているのが稀ということであろう。おそらくサッカーだけでなく、本質的に博識タイプである。この手の博識さが稀であるのは、世間のひとびとは実学的なことを学習しているからである。彼女は筑波大付属高校の出身だそうだが、東大進学云々と言いながら、結局は高卒らしい。もし大学進学していたら、何を履修するか選択できるにしても、縛りは発生する。たとえば司法試験に合格しようという人は司法試験合格のための勉強しかできない。影山優佳は好きなことをやっていればいい人間だから、こういうことができる。とはいえ、たとえば専業主婦とか引きこもり男性が有り余る時間を使って博識を極めているかというとほとんどがそうではないし、ただ暇潰しの毎日である。時間が余っていて、なおかつ勉強熱心という人はあまりいない。優秀な頭脳の持ち主はエリートとして歩むための課題をこなすのに精一杯である。頭が悪くて暇だと、それはそれで使い物にならない。われわれの大半は知的探究心から疎外されている。