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この手の問題で激怒するのも変なので、怒り狂った暴徒が繁華街を練り歩くことはあるまいが、なにかしらモヤモヤが燻っている人はいるに違いない。信者系の人なら、「心配して損をした。でもホッとした」となるが、そうでない人としては、儀礼的に心配して損をした、そして、別にホッとしないからモヤモヤ、という感情があるに違いない。たとえば(いや、この喩えがいいかどうかはしらないが)何かしら重病だと匂わせていた人が「実は健康でした」となれば、モヤモヤするであろう。そう、今回のHIKAKINの活動休止は狂言なのである。たとえばダルビッシュの弟が癌だそうで、実はわれわれはどうでもいいのだが、やはり人間として、(ダルビッシュの弟がどうでもよくても)儀礼的に彼の闘病を心配するわけである。そのような儀礼で世の中は成り立っている。一応は心配してあげるわけだ。今回はそのような儀礼をもてあそばれ手玉に取られた。そして今回のHIKAKINの活動休止騒動に関わっているのが、あの日清食品である。2010年に槍ヶ岳でラ王のCM撮影をした際に、一般の登山者を足止めした会社である。さすがにこいつら知恵遅れではないから、反省の演技で切り抜けたが、それだけのことである。まずいインスタントラーメンの売り方について、狡猾なマーケティングというか、選民思想や奢りが感じられる。まあ、いい。わたしは日清食品に不快感を持っている。HIKAKINも今のところスキャンダルがないから、お騒がせタレントとは正反対の扱いを受けられるが、たぶん少なからずの人が今回の狂言マーケティングに眉をひそめ、そしてわざわざ怒るのが面倒だから、解散解散ということだが、オオカミ少年的な禍根を残したのである。
2023.04.25

道具と神経

五感というと、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚となるが、触覚とはずいぶんわかりづらいものである。ひとまず指で何かに触った手触りが触覚ではあるのだろうが、実際は指先の表面の接面だけでなく、その先まで触覚は世界を把握している。われわれは普段からいろいろなものの感触をつかんでいる。道具には神経が通っていないが、通っている。たとえば野球選手がバットを構えてボールを打つ。この場合、腕には神経が通っていて、バットには神経が通ってないわけだが、硬球と軟球では感触が違うであろうし、真芯とバットの先でも感触が違う。バトミントンでもテニスでもフェンシングでも何でもいいが、手で握って何かを使うとして、おそらくそれは手の一部なのである。ペンで文字を書くとすれば、そのペン先の感触を確かめているわけである。ペンに神経は通っていないが、それでもペン先の感触は確かにある。われわれはブラインドタッチができるわりには、パソコンのキーボードの配列を記憶してないことが多いが、おそらくキーボードが指と一体化しているからであろう。自転車を漕ぐとして、おそらく自転車はわれわれの肉体そのものなのである。砂利道の感触とか土やコンクリートの感触とか、それを自転車のタイヤで感じているのである。道具を介した場合でも、われわれは肉体へのフィードバックをかなり得ている。むしろそれこそが触覚の本質であるだろう。筆をとって書道をやるとして、直接触れている木の感覚だけでなく、毛筆の微細な感覚や、半紙の質感、下敷きの素材、もしくは文机そのものの硬さまでありありと伝わってくるのが大事なのである。もしそれが伝わらないとしたら世界はかなり貧しいものであろう。
YouTuber界隈において、野良猫を保護したひとに「ありがとう」という風習があるようだ。まず、人間の言葉というのは儀礼的であり、いわば定型的な挨拶と言うか、とりあえずメールの末尾に「よろしくお願いします」と書いたりする。「保護してくれてありがとうございます」というのも、本当の意味でのお礼ではなく、定型的な挨拶、と考えることもできる。独自の表現を用いるよりは、定型的な挨拶文の方が無難なのである。ちなみに、現実世界で保護猫を飼っている人に「保護してくれてありがとう」とは言わないし、YouTuber界隈の挨拶文と考える方がよさそうである。おそらくすべての猫への愛というファンタジーがあるのだと思うが、実際には野良猫に餌やりする行為と通底している。自分の猫だけを大事にするのが実は正しいし、自分が飼ってない猫を大事にしてはいけない。もちろん排泄物のお世話までするのならいいが、たいていは餌やりだけなので、無関係な猫への愛は公害である。そもそも野良猫の保護だけを純粋にやっている人は少ない。たとえば9万人の登録者がいる「Hana Channel.保護猫ライフ」というチャンネルでは、おそろしいことに野良猫食堂と称して玄関先で野良に餌をやっているのである。そのうち懐いた猫は保護して飼っているので、この御家庭は保護猫だらけなのだが、おそらく住宅街であるし、近所迷惑も甚だしい。このチャンネルに限らず、野良猫に餌やりする動画は人気があり、バズりやすいのだが、動物愛護の悪夢であろう。野良猫の排泄物を清掃している人がいたら「ありがとう」と感謝したくなるが、餌やりがありがたいわけないし、餌やりの延長で懐いて保護したとしても、まったくありがたくないわけだ。むしろ刑務所に行け、と言いたくなるが、野良猫への餌やりに違法性はなさそうだし、末法の世である。
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