2012.02.21
終末思想、そして世界が終わりそうにない現在
世界が終わりそうにないのが2012年の世界だと思うんです。
日本は一年くらい前にとても大きな地震に見舞われて原発事故まで体験しました。
でも、「終わり」の感覚からはほど遠い。
様々な問題はありながらも、今の時間性と地続きで世界が続いていくという風景が見える。
これだと東京に関東大震災級の地震が来ても、「終わり」は見えない気がする。
終末とはほど遠い世界で、よくも悪くも終わらない日々が続くんです。
三島由紀夫は「金閣寺」において終末思想を描きました。
主人公は戦争中は(破滅が目前という理由から)金閣を愛するが、戦争が終わって(永遠に続きそうな)金閣を憎むんです。
だから主人公自ら火を付けるというロジックが展開されます。
五島なんとかがノストラダムスのブームを流行らせたのは1970年代以降なので、当然ながら三島由紀夫の金閣寺(1956年)はそのあたりの影響は受けてません。
終末思想は普遍的であって、年代的に言えば、第二次世界大戦から影響を受けて書かれた作品です。
世界大戦の隠喩というより、物語そのものが世界大戦との向き合い方の問題です。
ノストラダムスから派生している終末思想は、どちらかというと、破滅によって真理とか真実が明かされるという発想が多い気がします。
恐怖の大魔王が嘘だらけの世界を破壊してくれるという救世主願望ですね。
「金閣寺」はそういう発想が薄くて、僕らを縛っている現実っていうものを破壊したいという発想であり、ごく普通の破壊願望です。
破壊の先に何もないのが、「金閣寺」の世界観です。
「新世紀エヴァンゲリオン」という傑作が20世紀末に生まれたのは、ノストラダムスを多少は意識していると思われます。
1999年を目の前にしていた時代だからこそ、エヴァは作られたんですよ。
終末を手前にした、人類の総決算なんです。
2012年という、終わりそうにない世界だと、新創世記は綴れない。
この曖昧な時代に、何を総決算するんだよ。
大思想とか大文学とか、エヴァ級のアニメとか、ああいうのは、総決算が必要な時代性が生み出すのです。
ハイデガーがいう「死に向かった存在」と似た話というか、終末に向かっているという感覚から世界を捉えていくと、大思想が生まれる。
1999年を乗り越えてしまってから、僕らに与えられた文化は決して豊かとは言えない。
世紀末を生き延びてしまったんで、「死」に直面しているという感覚はないし、それに応じたものしか生まれないんだよ。
日本は一年くらい前にとても大きな地震に見舞われて原発事故まで体験しました。
でも、「終わり」の感覚からはほど遠い。
様々な問題はありながらも、今の時間性と地続きで世界が続いていくという風景が見える。
これだと東京に関東大震災級の地震が来ても、「終わり」は見えない気がする。
終末とはほど遠い世界で、よくも悪くも終わらない日々が続くんです。
三島由紀夫は「金閣寺」において終末思想を描きました。
主人公は戦争中は(破滅が目前という理由から)金閣を愛するが、戦争が終わって(永遠に続きそうな)金閣を憎むんです。
だから主人公自ら火を付けるというロジックが展開されます。
五島なんとかがノストラダムスのブームを流行らせたのは1970年代以降なので、当然ながら三島由紀夫の金閣寺(1956年)はそのあたりの影響は受けてません。
終末思想は普遍的であって、年代的に言えば、第二次世界大戦から影響を受けて書かれた作品です。
世界大戦の隠喩というより、物語そのものが世界大戦との向き合い方の問題です。
ノストラダムスから派生している終末思想は、どちらかというと、破滅によって真理とか真実が明かされるという発想が多い気がします。
恐怖の大魔王が嘘だらけの世界を破壊してくれるという救世主願望ですね。
「金閣寺」はそういう発想が薄くて、僕らを縛っている現実っていうものを破壊したいという発想であり、ごく普通の破壊願望です。
破壊の先に何もないのが、「金閣寺」の世界観です。
「新世紀エヴァンゲリオン」という傑作が20世紀末に生まれたのは、ノストラダムスを多少は意識していると思われます。
1999年を目の前にしていた時代だからこそ、エヴァは作られたんですよ。
終末を手前にした、人類の総決算なんです。
2012年という、終わりそうにない世界だと、新創世記は綴れない。
この曖昧な時代に、何を総決算するんだよ。
大思想とか大文学とか、エヴァ級のアニメとか、ああいうのは、総決算が必要な時代性が生み出すのです。
ハイデガーがいう「死に向かった存在」と似た話というか、終末に向かっているという感覚から世界を捉えていくと、大思想が生まれる。
1999年を乗り越えてしまってから、僕らに与えられた文化は決して豊かとは言えない。
世紀末を生き延びてしまったんで、「死」に直面しているという感覚はないし、それに応じたものしか生まれないんだよ。
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