安いから売れるというのは、正しいようで正しくない。少なくとも企業が利益を上げる方法としては正しくない。低価格競争は消費者には得だけども、それに参戦する企業は基本的に疲弊する。現在のAndroidの市場でサムスンが得ているような圧倒的な勝利もあり得るが、こういうのはそう続かない。Galaxy S4がどうしても欲しい、それ以外は欲しくないなんてユーザーは皆無だから、ちょっとしたことでサムスンの世界的な勝利も崩れる。

アップルがゼロ年代において勝利者となったのは、決して低価格のデバイスを提供したからではない。高いから売れたのである。iPhoneが出た時は「世界一高い携帯電話」と揶揄されたが、それでも売れた。高くても買うユーザーというのは確実に存在していて、そこに訴えかけたから売れたのである。

PC/AT互換機の普及で得をしたのはマイクロソフトだけである。それ以外は、同じ土俵で低価格競争をする羽目になった。規格が統一されるのはユーザーには利益があるが、メーカーは無個性化され、同じ土俵で安さを競わされる。アップルはこういう土俵に乗らなかったから、ゼロ年代に大きな成功を収めた。PC/AT互換機ならどこにでも売っている。たとえばVAIOは多少人気があったりするが、しかしVAIOである必要は全然ないわけだ。VAIOはソニーの過去の栄光のブランドでしか無く、製品としてオンリーワンではないので、アップルとは勝負にならない。アップルの製品が高くても売れるのは、アップルでしか買えないからである。そして割高であることで、何らかの付加価値を感じられればいいのである。

iPhoneはGalaxyより高くていいし、iPadはNexusより高くていいのだ。ジョブズはコストカットのために製品をチープにしようとすることはない。たとえばジョブズが一貫してこだわり続けたのは、製品の梱包だ。低価格路線を考えるなら、梱包に金など掛けないが、ジョブズはここを重視する。アップルの製品を購入してパッケージを開封する体験を大事にするのだ。電化製品を買うのは特別なイベントである。買ってきて、その箱を開ける時の楽しさは至上のものであるべきなのだ。無機質にダンボールに詰めておけばいいという発想では駄目なのだ。

パソコンが売れないと言われるが、安いから売れないのだ。高ければ売れる。三万円高くして、その三万円高いだけの特別な価値があれば、消費者は買うのである。装飾を削りに削った低価格のパソコンなど売れない。似たような安物のPC/AT互換機を並べているだけでは買いたくなるわけがない。もう少し高額で、その高さに見合うだけのパソコンが求められている。日本のメーカーが苦戦しているのは、そういう価値を創出出来ないからである。高くても売れるというのはアップルが証明しているのに、付け加える価値が思い当たらないらしい。これが日本のデフレの象徴なのである。デフレは通貨のバランスの問題だけではない。新しい価値が生まれていないから、商品が低価格に引っ張られており、それがデフレに繋がるのだ。







スポンサードリンク

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

ukdata

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング