琴浦さんというアニメがある。人の心が読めてしまう少女の話だ。琴浦さんは人の心を読んでは口に出すので、他人からとても嫌われている。琴浦さんに急所を突かれると、ひとは憎悪を剥き出しにするのだ。これほど憎い人間はこの世にいないという、そういう憎しみの対象となるのである。

これに似ているのが真性さんだ。真性さんは極端に視野が狭いので、他人の急所をよく突く。他人の粗を見つけると徹底して調べ、その一点から破滅に追い込む。

われわれの世界は平均的な了解性に基づいている。広く浅く物事を見て、平均的に理解しておくことによって、急所は突かない(見えない)ようにしているのだ。はっきり言えば、この世の中欺瞞だらけである。人間の思考がもっと深ければ、こんな嘘だらけの世界は到底耐えられない。だから思考が浅く平均的な人間が尊ばれるのである。

琴浦さんというアニメは爆死した。話題を呼んだのに全然売れなかった。なぜなら、途中から方向転換してしまったからだ。序盤で魔女のように憎まれていた琴浦さんは中盤以降、普通の人間として受容されるようになる。このあたりはコメディタッチで面白く描けているのだが、作品としての哲学を失った。天才が凡人に堕していく話なのだから、要は世界の平均性に媚びたのである。その種の平均的なしあわせで琴浦さんを包んだから、視聴者は萎えることになり、この作品は忘れ去られた。

仮に、琴浦さんが人の心を読む魔女として行くところまで行く展開だったら、多くの批判を受けながらも名作のひとつとして数えられただろう。琴浦さんのような存在(世の中の欺瞞を暴く存在)はタブーなので、この作品を憎悪するアンチは確実に存在するだろうが、それでも人間の本質を描く名作となれたはずだ。

他者の欺瞞を暴くのは修羅の道である。それをやっても楽園にはならないからだ。欺瞞をなんとなく容認し、平均的な了解性を持つことで、われわれは生きているのである。

真性さんは琴浦さんのような能力を持ってこの世に生まれたから、他人から悪魔のように憎まれた。視野が狭い人間は、世の中の平均性の裏にある急所を読み取るのが得意なので、「広く浅く」がモットーの人間たちから、これくらいに憎まれることはない。真性さんは決して他人に好かれない。欺瞞を暴かれて喜ぶ人間など、この世にはいないからだ。真性さんは業を抱えてこの世に生まれてきたのである。

真性さんは10年間ブログをやってきたが、途中で鬱になっていたこともあり、アルファブロガーとしての面影はもはやない。結局内面で日和ったからだ。自らの悪魔的な能力が他人から憎悪されるという課題で苦悩し、その結果、糾弾する意図を弱めながら、漠然と平均的な方向にシフトすることを選んだのだ。つまり琴浦さんの中盤以降の展開と似ているのである。琴浦さんが売れなかったのと、真性さんの人気が凋落したのは同じ理由である。







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