カチェリーナは、少し頑張ってみようと思った。このままだとグルーシェンカに馬鹿にされたまま一生が終わってしまう。
「わたしはこれから机に向かって、本を読んだり作業したりしようと思うんだ」
「思うだけなら何度でも思ったでしょうね。カチェリーナ様は実行なさらないだけで」
グルーシェンカはカチェリーナを蔑んだ目で見た。
「今からわたしが本を読むところを見せてやる」
カチェリーナはベッドから起き上がった。いつも通りの頭痛が頭頂部から心臓まで駆け抜ける。これにずっと悩まされているのだ。
「またお決まりの偏頭痛ですか。ベッドに戻れば治ると思います」
「もうそういうわけにはいかないのだ」
お姫様のようなベッドで15年間ゴロゴロしていて何も生まれなかった。ウクライナ最高の美少女と謳われ、使い切れない財産があっても、ベッドからほとんど出ないのでは何の意味もない。カチェリーナは寝室の片隅にある机に向かった。難しそうな本を開いてみる。内容的に読むことは出来そうだったが、何しろ偏頭痛が間断なく襲いかかってくる。薬で治らないこの痛みに耐えながら本を読まないといけないのだ。カチェリーナの額から脂汗が流れてきた。そうやって耐えながら紙の上に目を走らせていたが、十五分程度で力尽きた。
「なんでこんなに疲れるのだ。ベッドでツイッターやるなら、一日中だって出来るのに」
「書籍はネットと違って疲れます。ネットなら一日中やれますが、本だと疲弊します」
「なぜだろう」
「書籍だと全体の流れを追わないといけないからです。全体の文脈を把握しながら読んでるから疲れるのです。頭のメモリーが満杯になってしまうのです。ネットだと好奇心の舳先が向いたところを拾い読みしてるだけなのでたいしたことはないです。ある意味、本を読むという行為は、好奇心を満たしているというよりは、いろんな誘惑を断ち切って本に集中することなのです」
「確かにその通りだな。ネットをやることに集中力はいらない。その時々の気まぐれな好奇心で動いている」
「ゴロゴロしてネットだけやってる人が博識になったという事例は寡聞にして聞いたことがありません。表面的な情報を消費しているだけだから当然なのです。書籍でなければ、中身のある知識は付きません」
カチェリーナはまったく反論できなかった。寝転がってiPhoneをやりながらいろんな情報を得たが、何一つ血肉にはなっていない。ゴシップ雑誌を読んでいるのと何ら変わりがないのだ。







スポンサードリンク

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

ukdata

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング