カチェリーナはリザヴェータの天才的な画力に嫉妬し、何度も発狂し泡を吹いて倒れていたわけだが、実際にリザヴェータに接して親しくなると、憎悪が尊敬に転じてきた。親からネグレクトされ、兄弟から除け者にされ、誰からも愛されず、友達がひとりもいないカチェリーナだが、リザヴェータは優しくしてくれる。嫉妬していた天才からすごく優しくされるのだから、カチェリーナの気が変わったのも当然である。リザヴェータは天才で優しくて美人でなおかつ名門貴族である。最近は同性婚も認められている時代だ。ようやく理想的な結婚相手が見つかったのである。
カチェリーナは結婚式や披露宴の準備を始めた。カチェリーナは友達がひとりもいないが、世界的大富豪なので、世界からビッグネームを招くつもりである。カチェリーナはウクライナのカトリック教会に非常に多額の寄付をしているから、ローマ法王にも招待状を送付した。そして世界一高い婚約指輪を購入すると、それをリザヴェータのところに持っていって、結婚が決まったことを告げた。
リザヴェータは目を白黒させていたが、カチェリーナの説明を聞くにつれて青ざめ、その表情は不信感に満ちていった。
「リザヴェータの家の血筋はすごい立派だから、わたしがおまえの家に入る格好になる。同性婚だが、おまえが主人でわたしが奥さんだな」
カチェリーナは血筋にコンプレックスがあったのだが、リザヴェータの家に入ることで、それが完全に解消するのである。
「あなたはもっと人の気持ちを考えてから発言した方がいいと思いますよ」
今までカチェリーナが何度も他人から言われたセリフがリザヴェータの口から発せられた。
「まったく寝耳に水なんですが、こんな一方的に結婚決めるとかあり得ません。頭がおかしいとしか思えませんわ」
リザヴェータは怒りと当惑で震えていた。
「おまえはわたしの運命の相手だ。結婚するのが当然である。わたしは世界的大富豪であり、外見は天使そのものだ。おまえにとって理想的な結婚相手であるのは疑いない」
「いい加減自分を特別な人間だと思うのはやめてください」
また今まで何度も他人から言われたセリフが発せられた。カチェリーナはパニックに陥った。なぜ自分が他人から拒絶されるのかさっぱりわからなかった。世界的大富豪で外見が天使の美少女から結婚を申し込まれて断る人間が地球上にいることが理解できなかった。
「なぜわたしは他人から拒まれるのか。せっかく理想的な結婚相手を見つけたのに」
カチェリーナは泣き叫んだが、リザヴェータは頭を撫でて宥めた。
「こういうことを一方的にやってはいけません。人間はエスパーではないのですから他者への想像力を持つことが必要です。独りよがりに考えるのではなく、いろんな角度から物事を見て判断することが大切です」
「結婚してくれないというのか」
「結婚するからには想像力が必要だと思うんです。いろいろ想像して、現実を把握するんです。絵空事の空想ではなく、出来るだけ現実に近い認識をするのが重要です。それが出来るようになってから結婚を考えるべきでしょう」
「出来ないから、わたしはどこにいっても相手にされないんだ」
「カチェリーナ様は自分のペースで手探りでやっていけばいいんです。この世界は、どこかに模範解答が書かれているわけではないので、頑張って自分で考えて、現実を見ていくしかないんです」
リザヴェータはすごい優しくて、絶対にカチェリーナを見捨てないという感じだった。カチェリーナは生まれて初めてこういう相手に出会えたと思った。
「じゃあわたしがそういう勉強をするのを手伝ってくれるだろうか」
「もちろんです。カチェリーナ様のことが大好きという点では誰にも負けません。それこそ同性婚を考えてもいいくらいです」
「本当か」
「カチェリーナ様が他人の気持ちを想像出来るようになったら考えてもいいでしょう」







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