ソーネチカと寝てみたらお嬢様同士が慈しみ合うような百合の世界にはならず、カチェリーナは自分の育ちの悪さに絶望していたわけだが、少し休んだら回復したので、部屋の外に出た。
この豪邸の二階には洒落たダイニングがあるのだが、そこでグルーシェンカが本を読んでいた。グルーシェンカはカチェリーナが出てきたら話をするつもりで、そこにいたのだと思われる。カチェリーナはそのテーブルの向かいに座った。
「もう大丈夫なんですか」
「自分の育ちの悪さを思い知らされてショックだったんだが、ソーネチカの身体が素晴らしすぎたので、回復が早かった。いい女を抱いたのは確かだからな」
「ソーネチカを抱いてみてよかったでしょう」
「引け目を感じるくらいに育ちのいい子を食うなんて素晴らしい」
「ソーネチカとは是非仲良くなりたいですね。友人としても素晴らしいし、性的に楽しんでも素晴らしい子です」
「本当にあの女はいいよな。わたしがお嬢様らしく出来なくて、夢見ていた百合は出来なかったが」
「知能の格差があると、話が通じないんです。カチェリーナ様はかなり知能指数が高いと思われますが、ソーネチカは普通の優等生です。かなり知能の格差があるので、会話が成り立たないのでしょう」
「おまえはソーネチカと普通に話してるだろ」
「わたしはソーシャルスキルが高いからです。ソーネチカは意識が冴え渡っていて、かなり空気が読める子です。神経が細やかで、想像力と共感性があって気配りが出来る。そのあたりの情緒の感覚でコミュニケーション出来るのです。カチェリーナ様は情緒が欠損してるので、なかなか難しいです。すごい理屈っぽいから、わたしも理屈で返してるし、女の子らしいトークになることはないのです」
グルーシェンカは本を脇にどけると、コニャックを取りだして飲み始めた。普段から飲んでいるわけではないが、カチェリーナと雑談したいということなのだろう。カチェリーナもお相伴にあずかることにした。
「急にわたしはカラマーゾフの兄弟のドミートリーが理解できるようになった」
「女の味を知ったからですか」
「女狂いで馬鹿になるという放蕩性が理解できるようになった。米国でも高額所得者のアスリートが借金まみれになったりするが、あれも納得がいくわけだ。ドミートリーはラスコーリニコフみたいな特殊な存在ではなくて、世間的にとてもありふれた馬鹿なんだ。さらに踏み込んで考えると、ドミートリーはトラブルメーカーの末路なんだ。ドミートリーはトラブルを自ら起こし続けてきた。それを腕力でねじ伏せていたわけさ」
「トラブルを起こす、つまり対人スキルで失敗してるのに、喧嘩によって勝利者になるわけですね。人間関係で失敗したのに、喧嘩の勝利で正当化するという」
「馬鹿な大男にありがちな人生なんだよ。小男ならトラブル起こしたら胸ぐらつかまれて涙目になるだけだから、羊のようにおとなしくして自らトラブルは起こさない。でも大男は、喧嘩での勝利に持ち込むために、わざとトラブル起こすんだ。それで相手をぶちのめして凱歌を上げるんだが、馬鹿であることに変わりはなく、やがて借金まみれになったりするんだ」
「マッチョ的な男性の共感性の低さも、話し合いより喧嘩を前提にしてるんでしょうね。そういう男がありがちだから、カラマーゾフの兄弟は世界的に理解されている。この種のトラブルメーカーが好きな女も多いですよね」
「女を助けて惚れさせるにはトラブルが必要だからな。女が男に惚れる動機なんて、そういう愚にも付かない動物的なものだから、わたしは百合を選択するのだ」
「ドミートリーはなぜ清楚なフィアンセを捨てて、アバズレに惚れたんでしょう」
「聖母の理想を信じていたのにソドムに堕ちるという作品のテーマに合わせたのだろうけど、そういう破滅性でドミートリーの純粋さを表現しようとしたんだ。放蕩の限りを尽くして、そのツケを清楚なフィアンセに払って貰って、結婚して丸くなる小ずるい人間じゃ、誰も共感しないだろう。だから作劇の都合上、ドミートリーは底なしの馬鹿である必要があるんだ」
「ところでカチェリーナ様は、これから放蕩の限りを尽くすのでしょうか」
「病的な百合好きであることを考えると、女を落とすコツを覚えたらやばいだろうね。今のところは誰も落ちないし、友達がひとりもいないからおとなしくしてるしかないが」







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