カチェリーナは人類を超越した天使の美しさを持って生まれたが、想像力や共感性の欠如も併せ持っていたので、育ちの悪い親からネグレクトされて幼少期を過ごした。カチェリーナを無視していた家族はラスベガスで豪遊していた際に皆殺しとなったので、彼らが悪辣の限りを尽くして築き上げた莫大な財産はカチェリーナ一人に相続された。生まれながらの知能は極めて高いものがあったが、幼少期にまともな教育を受けてないので、ベルサイユ宮殿を摸した城で15歳までゴロゴロしながら過ごした。ひょんなことから上流階級の最高の家庭環境で生活することになり、そこから徒歩五分のところにある憧れの名門お嬢様学校に通うことになった。空気が読めないので学校で友達がひとりも出来ず、それは現時点でも変わりがないが、居候していた名門貴族の二人の令嬢を攻略することが出来た。最高の教育を受けた育ちのいい令嬢が昼夜問わずおねだりしてくるので、それをかわるがわる抱いている生活である。カチェリーナは同性愛者というわけではないが、自分がなれなかった育ちのいいお嬢様に偏愛があった。友達がひとりもいないのに700も部屋がある巨大な城を建てたのも、お姫様の真似事がやりたかったからだ。誰も訪れない城は廃墟のようであり、お姫様にはなれなかったが、その自分がなれなかった姿を体現している最高の令嬢を二人とも抱けたのは僥倖であった。

そうやって令嬢のひとりであるグルーシェンカの身体を楽しんだ後に、カチェリーナは最近の決断について話した。
「先日わたしは遺言書を作成した」
「まさかご病気なんですか」
グルーシェンカはとても心配そうだった。
おざなりに気遣ってみせているのではなく、本当に不安げな様子である。
「人は死ぐらい考えなくてはならない」
カチェリーナは目を伏せた。
そしてそれから説明を始めた。
「前から病弱で間断なく偏頭痛があるが、不治の病などはない。何ら状態に変わりはないが、健康ではないだけに、一応遺言書を用意しておこうと考えた。遺産はリザヴェータとグルーシェンカに半分ずつやることにした。リザヴェータはわたしがこの世で最も尊敬している人だし、あのような高潔な女性に遺産を託すのは当然だ。グルーシェンカは小狡い性格が鼻につくが、リザヴェータの実妹であるし、ソーシャルスキルや現実判断力の高さがあり、並外れた秀才でもあるので、おまけとして加えておいた」
「健康面の不安が深刻でなければよいのですが」
「なおこの件はひとまずリザヴェータには言わないことにする」
「どうしてでしょうか」
「わたしの考えにリザヴェータが嫌悪感を示す可能性があるからだ。女というのは、抱けるからこそ価値がある。どれだけ愛されようが、やらせない女に価値はない。やらせることが血の契約であり、見せ金ではない本物の交換財を手渡したことになる。リザヴェータとグルーシェンカが、言葉ではなく身体を提供したから、単なる居候とかホームステイではなく、この家はわたしのものになった。女の交換が行われたのだから、おまえらがわたしの巨額の資産を使うのも家族として自由ということなのだ」
「肉体的な女の交換だけに価値を認めるという実存的な考えは、精神的で宗教的な愛を信じているリザヴェータ姉さんには受け入れられないでしょうね。しかし女の交換が家族制度の根底であるのは確かです」
「おまえらを金のために寝る売春婦のように扱っているわけではないんだ。売春婦が蔑まれるのは、誰とでも寝るからだ。売春は決して女の交換ではない。人生において特定の誰かと血判状を交わすのではなく、いろんな相手に安売りして稼ごうということなのだ」
「わたしはその考えは支持できます。貴族が娘を最高の令嬢に育てるのは、他家に交換財として差し出すためです。それは人生に一度きりの決定的な決断ですから、来る日も来る日も客を取る手練れの娼婦と同列にされたら敵いません」
「もちろんおまえらが将来男と結婚したりするのは自由だ。束縛するつもりもないので、自由に生きればいい。何にせよ、股を開くというのは、撤回不能な決断をしてくれたということなのだ。女が股を開くというのは、撤回不能性の最たるものであり、あとから取り消すことは出来ない」
「さすがに女の子らしさがまったくないカチェリーナ様だけあって、少女趣味の欠片もない鋭い洞察です。恋に恋する少女のような発想が出来ないのだから友達が出来ないのも納得です」
「失言は撤回できないこともあるが、愛の言葉なんて簡単に撤回できる。だから撤回不能性を決定づけるために股を開いてもらうのが肝心なのだ」
「人を愛する価値を信じているリザヴェータ姉さんには聞かせない方がいいでしょう。精神的な愛は見せ金であり、股を開くことだけが撤回不能な決断であるという認識は極めて正しいと思いますが、カチェリーナ様を心から愛している姉さんは嫌な思いをするでしょう」
「ともかく、おまえは家族と同じ扱いなので、今日からでもわたしの財産を使って構わない」
「お金にはまったく困ってませんが、信頼してくださるのは嬉しいです」
「でも新しい女が出来たら、おまえは遺言書から除外する。リザヴェータは何があっても残すけど」
「どうせそんなことだと思いましたよ」
ちなみにカチェリーナが遺言書を書いた最大の理由は、若い女ふたりを相手にしていて腹上死が心配になったからなのだが、それを言ってセックスが出来なくなったら絶望的なので黙っておくことにした。







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