「動物たちの反乱」という地味な本を読んだ。
兵庫県森林動物研究センターというのがあり、京大名誉教授の河合雅雄が名誉所長を務めている。
そこの研究員が共同執筆した本である。
つまらなそうな本だと思ったのだが、読んでみると、これがなかなかの好著である。
最近は山林に住む動物たちが山から降りてきて農地を荒らすという問題があるが、そういうつまらない問題をきちんと書いており、かなり読ませる。
テーマとしてはつまらないのに、動物の生態の記述がしっかりしているので知的好奇心を満たしてくれる。

わたしが嫌いなのは新聞記者が書いた本である。
記者は「取材」して書くわけだ。
もちろん足を使って聞いて回ることで、点が繋がり線となり、全体的な絵面が浮かんでくることもある。
だが、どうしても人から聞いた話をまとめることになる。
無知蒙昧だからこそ、他人に取材しているとも言える。
この野生動物が農地を荒らしている問題に関しても、新聞記者が書いたら、たぶん現地取材で「こんなに困ってるんです」という農家の人たちのコメントを集めたルポルタージュに終わり、動物の生態に関する知識の細部はあやふやに書いてしまうはずだ。
ルポルタージュが無価値だとは言わないし、テレビのドキュメンタリーくらいの価値はあるだろうが、細部の知識が曖昧なのが大半だ。
問題をざっと概観して「雰囲気」をつかむにはいいが、細部を解き明かす面白さがない。

この「動物たちの反乱」という本は、執筆者たちが動物の生態を専門としているので、細部の誤魔化しがない。
「ここは著者が無知だから曖昧にしてるな」と思う部分が、この本では皆無なのである。
全部で13章から成り立っているが、それぞれの章に、執筆者のクレジットが入っているのに好感が持てる。
普通なら著名な学者である河合雅雄が全部書いたことにして、他はゴースト扱いというのもありそうだが、この本では河合雅雄が書いてるのは13章のうち3章でしかない。
その残りの10章を書いてるのは、必ずしも著名人ではないが、いずれもこの分野の専門家であり、かなり読み応えがある。
こういう好著が地味に埋もれてしまってるのが残念である。
一人で書いてこそ「著作」と認められるという部分もあるので、共同執筆という手法が取られることは少ないが、啓蒙的な本だと、専門家が議論しながら共同で書いた方が、よいものが出来るかもしれない。







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