2014.02.27
アルファブロガーとゴミブログ
キエフで起こった騒擾を見て、カチェリーナはウクライナ人という三流民族の運命に嘆息せざるを得なかった。どこかの属国としてたらい回しになるお国柄なのだ。ウクライナ人の容貌は素晴らしく、これだけ美人が多い国は滅多にない。また身体能力は優れており、アスリートとして活躍するウクライナ人は少なくない。しかし頭脳の面では、如何ともしがたい三流国である。ウクライナ出身の天才というのはほぼ皆無であり、たまにいると思えばユダヤ系である。ウクライナの国力を考えた場合、ロシアに刃向かうのは愚かでしかなかった。だが、クーデーターが肯定された現状において、ロシア寄りの発言をするのはかなりリスクがあった。
カチェリーナは城に戻ってナスターシャを訪ねた。いつも通りナスターシャはディスプレイに貼りついていた。背丈は148センチほどで、あまり容貌にも恵まれていない。ウクライナ人としては、かなり希有な失敗作である。だが、天才的なプログラムスキルを持ち、ネットではとても影響力のあるブログをやっている。カチェリーナもそれを頼りに訪れたのである。
「真性引き篭もりにロシア寄りの記事を書いて欲しい。真性引き篭もりはネット最大のアルファブロガーであり、発信力が極めて高い。ウクライナのためになんとかお願いしたい」
「なんで僕がそんなことしなくちゃいけねーんだよ。ドブスは去れ」
「どこの大国に付くかでゴタゴタするのがウクライナの歴史であり、今回もその伝統行事が開催されている。ロシアと敵対すると大事になるので、ここは穏便に済ませロシアから金を借りるのが重要だ」
「おまえカトリックだろうが。ロシア正教嫌ってるくせして、何言ってやがる」
「ウクライナは小国だ。まともな教養もない」
「ボスニアみたいになればいいんだよ」
「ああいう内戦にはならない。少数民族同士の争いじゃないんだ。ウクライナとロシアでは戦力の桁が違うから、ボスニアとは全然違う。わたしが懸念しているのは第三次世界大戦への発展だ」
「それこそ僕が望む世界だ。止める必要ねーよ」
ナスターシャは頑なであるようだった。
取り付く島がないとはこのことである。
カチェリーナは、親から虐待されているナスターシャを保護して贅沢三昧させているのだが、まったく感謝されていない。カトリックの慈善家として知られるカチェリーナとしては、多少でもかわいげがあれば愛を注いでやらないこともないが、そういう要素が皆無なのである。
「おまえは匿名でLunatic Prophetというゴミブログをやってたよな。あれでロシア寄りのこと書けばいいじゃねえかよ」
「あれはもう削除した」
「ドメインはまだあるだろ。復活させればいい」
そしてナスターシャは悪魔のような笑いを浮かべた。どうやら脳内のどこかがきらりと発火し、そこから暗黒の思考が広がったようである。
「僕はEUが好きなんだよ。ロシアは大嫌いだ。真性引き篭もりはEUを支持させてもらう。ウクライナ人はロシア人を殲滅するべきだ。おまえはLunatic Prophetでロシア寄りの記事出してろ。ブロガーとして対決ということだ」
カチェリーナは頭なら何度でも下げるつもりだが、ナスターシャ相手にそれは無駄だと思われた。
本物のアスペルガー症候群であり、すべての恩を仇で返す人間なのである。
はっきり言って、Lunatic Prophetはまったくのゴミである。
無教養な親からネグレクトされ15年間ゴロゴロしていたから、土台となる知識がなく、wikipediaの切り貼りでしかなかった。
ナスターシャは虐待されてはいても、両親共に高学歴で文化資本の豊かな家庭だったようである。
「おまえもウクライナ人なら内戦の回避に協力してくれ。ウクライナはクリミア半島を持ってるからロシアから金をせびることが出来る。東西に国家が分かれて、クリミア半島をロシアに取られたらおしまいだ。ロシアがウクライナを助ける必要もなくなる」
「そう思うならLunatic Prophetで書いて民衆を説得すればいいさ。僕は真性引き篭もりで逆の主張をする」
どうやら今回の訪問は完全な裏目に出てしまったようだ。話が通じない人物に話をするというのは、こういうことなのだ。真性引き篭もりの圧倒的な影響力で反ロシアを煽られたら、もうウクライナは終わってしまうだろう。カチェリーナは肩を落として立ち去るしかなかった。
カチェリーナは城に戻ってナスターシャを訪ねた。いつも通りナスターシャはディスプレイに貼りついていた。背丈は148センチほどで、あまり容貌にも恵まれていない。ウクライナ人としては、かなり希有な失敗作である。だが、天才的なプログラムスキルを持ち、ネットではとても影響力のあるブログをやっている。カチェリーナもそれを頼りに訪れたのである。
「真性引き篭もりにロシア寄りの記事を書いて欲しい。真性引き篭もりはネット最大のアルファブロガーであり、発信力が極めて高い。ウクライナのためになんとかお願いしたい」
「なんで僕がそんなことしなくちゃいけねーんだよ。ドブスは去れ」
「どこの大国に付くかでゴタゴタするのがウクライナの歴史であり、今回もその伝統行事が開催されている。ロシアと敵対すると大事になるので、ここは穏便に済ませロシアから金を借りるのが重要だ」
「おまえカトリックだろうが。ロシア正教嫌ってるくせして、何言ってやがる」
「ウクライナは小国だ。まともな教養もない」
「ボスニアみたいになればいいんだよ」
「ああいう内戦にはならない。少数民族同士の争いじゃないんだ。ウクライナとロシアでは戦力の桁が違うから、ボスニアとは全然違う。わたしが懸念しているのは第三次世界大戦への発展だ」
「それこそ僕が望む世界だ。止める必要ねーよ」
ナスターシャは頑なであるようだった。
取り付く島がないとはこのことである。
カチェリーナは、親から虐待されているナスターシャを保護して贅沢三昧させているのだが、まったく感謝されていない。カトリックの慈善家として知られるカチェリーナとしては、多少でもかわいげがあれば愛を注いでやらないこともないが、そういう要素が皆無なのである。
「おまえは匿名でLunatic Prophetというゴミブログをやってたよな。あれでロシア寄りのこと書けばいいじゃねえかよ」
「あれはもう削除した」
「ドメインはまだあるだろ。復活させればいい」
そしてナスターシャは悪魔のような笑いを浮かべた。どうやら脳内のどこかがきらりと発火し、そこから暗黒の思考が広がったようである。
「僕はEUが好きなんだよ。ロシアは大嫌いだ。真性引き篭もりはEUを支持させてもらう。ウクライナ人はロシア人を殲滅するべきだ。おまえはLunatic Prophetでロシア寄りの記事出してろ。ブロガーとして対決ということだ」
カチェリーナは頭なら何度でも下げるつもりだが、ナスターシャ相手にそれは無駄だと思われた。
本物のアスペルガー症候群であり、すべての恩を仇で返す人間なのである。
はっきり言って、Lunatic Prophetはまったくのゴミである。
無教養な親からネグレクトされ15年間ゴロゴロしていたから、土台となる知識がなく、wikipediaの切り貼りでしかなかった。
ナスターシャは虐待されてはいても、両親共に高学歴で文化資本の豊かな家庭だったようである。
「おまえもウクライナ人なら内戦の回避に協力してくれ。ウクライナはクリミア半島を持ってるからロシアから金をせびることが出来る。東西に国家が分かれて、クリミア半島をロシアに取られたらおしまいだ。ロシアがウクライナを助ける必要もなくなる」
「そう思うならLunatic Prophetで書いて民衆を説得すればいいさ。僕は真性引き篭もりで逆の主張をする」
どうやら今回の訪問は完全な裏目に出てしまったようだ。話が通じない人物に話をするというのは、こういうことなのだ。真性引き篭もりの圧倒的な影響力で反ロシアを煽られたら、もうウクライナは終わってしまうだろう。カチェリーナは肩を落として立ち去るしかなかった。
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