吉田茂と麻生財閥の仲を取り持ったのは白洲次郎である。
北康利の「白洲次郎 占領を背負った男」(講談社文庫)には次のように書かれている。

次郎は吉田の妻・雪子にも可愛がられたが、ある日彼女から折り入って頼みごとをされた。
「うちの和子にいいお相手はいないかしら? 次郎ちゃん、さがしてやってちょうだい」
というのである。
和子というのは、吉田が目の中に入れても痛くないほど愛していた三女のこと。吉田には健一(英文学者で評論家、小説家)という長男がいたが、吉田とは性格が正反対だったことから、吉田の愛情はもっぱら男勝りの和子に集まっていた。その相手を探すというのは並たいていのことではないはずだ。
にもかかわらず、次郎は割り箸を割ってくれと頼まれたような気軽さで、
「OK! マミー、任せておいてよ」
とふたつ返事で引き受けると、はりきって帰っていった。
そしてそれからいくらも経たないうちに、
〈欧州出張から帰る船の中でいい男を見つけたから、この男性と結婚するように〉
という命令口調の手紙を和子に送りつけてきた。
その〝いい男〟とは、九州で炭鉱を経営している麻生鉱業社長・麻生太賀吉のこと。たまたま船で一緒になり、サンフランシスコから横浜までの二週間ほどずっと一緒に賭け事をしていてすっかり意気投合したのだ。ギャンブルは上流階級の嗜みの一つ。〝賭け事〟とはいってもたいへんスマートなものだった。あれよあれよという間に話は進んでいき、和子はめでたく太賀吉と結婚することになった。次郎は吉田家にとって縁結びの神でもあったわけだ。
後年吉田は、
「金は銀行に取りにいけばいつでも引き出せるところをみると、麻生が入れておいてくれるのだろう」
と語っている。
麻生財閥の経済的バックアップなくして後の吉田の政治活動はなかっただろう。こうして次郎は、吉田家にとって家族同然の関係となっていく。そして和子、太賀吉、次郎の三人は、その後の吉田側近グループの核となっていくのである。


白洲次郎は毀誉褒貶のある人物だが、日本人らしからぬイケメン高身長であり、ケンブリッジ大学に聴講生として留学していた時代にかなりの英語力を身につけた。
そして吉田茂の側近として重用された。
白洲次郎に関するエピソードはかなり盛られている、という話もある。
日本人離れしすぎなので、そもそも日本人ではないという説もあり、なかなか分かりづらい人物である。

前掲書によれば、白洲次郎が永野重雄(新日鐵会長)と銀座のクラブで殴り合いになった際にも、麻生太賀吉が居合わせたという。

社会的地位のあるふたりが衆人環視の中、取っ組み合いの大喧嘩である。今なら間違いなく週刊誌ネタになったことだろう。一緒にいた麻生太賀吉が間に入ってなんとかその場をおさめた。この喧嘩の勝敗はどちらに軍配が上がったとも言えない。次郎は「永野のほうが詫びてきた」と言っているが、永野のほうは「殴りつけたら向こうが詫びてきた」と言っているし、麻生太賀吉は次郎の味方だからか「永野さんがひどい目にあっていた」と、みんなてんで好き勝手なことを言っている。 永野は後に日商会頭を長く務め、水野成夫、小林中、桜田武らとともに財界四天王と呼ばれるようになるが、次郎は、 「あいつらはバスが走り始めてから飛び乗るのがうまいだけだ」と言っている。


ともかくこの白洲次郎が吉田茂の娘の結婚相手として、麻生太賀吉を見つけてきたのである。
この結婚により生まれたのが麻生太郎である。
そして妹の信子は三笠宮寛仁親王に嫁いでいる。

吉田茂の妻の雪子の父親は牧野伸顕である。
牧野伸顕の父親が大久保利通である。

また麻生太郎の嫁の麻生ちか子は鈴木善幸の娘である。

このところ麻生太郎の長男の麻生将豊が注目されているが、彼は麻生太郎・鈴木善幸・吉田茂・牧野伸顕・大久保利通と血が繋がっているわけである。

麻生太郎の弟である麻生泰の息子・麻生巌がドワンゴ取締役である。
言うまでもなく麻生将豊と麻生巌は従兄弟である。
麻生将豊がドワンゴ川上会長と親しく、そのため麻生巌が取締役になったという話もある。

また麻生泰の夫人は武見敬三の姉である。
麻生巌から見ると、武見敬三は血の繋がった叔父さんである。
武見敬三の父親は武見太郎(日本医師会会長)である。

なお、吉田茂のもう一人の娘は吉田寛という外交官に嫁いでいるが、この吉田寛は岸信介と従兄弟である。
麻生太郎と安倍晋三は血は繋がってないが、親戚関係ではある。
つまり吉田茂には娘が二人いて、片方が深く麻生太郎、片方が浅く安倍晋三に繋がっている。
あくまで岸信介の従兄弟に吉田茂の娘が嫁いだだけだから、吉田茂と安倍晋三はまったく血は繋がっていないが、遠い親戚ではあるわけだ。

言うまでもなく岸信介と佐藤栄作は、養子に出された関係で名字は違うが実の兄弟である。

あと宮沢喜一と麻生太郎は、(かなり遠い)遠縁である。
宮沢喜一のいとこの夫の姉が麻生家に嫁いでいる。
ここまで遠縁だと親戚とは言えない気がするが、人間関係の狭さゆえに繋がるのだろう。
また、宮沢喜一の長男の嫁は、ブリジストン石橋の血を引く娘だから、鳩山由紀夫・邦夫と遠縁である。

吉田茂の異母兄が竹内明太郎という小松製作所の創業者である。
この曾孫がTBS報道記者の竹内明である。
このあたりも親戚関係があるわけだ。

おそらくは麻生太郎の長男である麻生将豊も、いずれは大物自民党政治家の娘か、もしくはどこかの名門の娘と結婚するのだろう。
前述したように麻生将豊は血縁だけで麻生太郎・鈴木善幸・吉田茂・牧野伸顕・大久保利通と繋がっており、遠縁も含めれば、皇族も含め、数多くの社会的有力者に行き当たるのだから、最強の縁故で作られた世界に生きているとも言える。
政略結婚で一族を繁栄させるという力学の中にいるのである。







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