2014.05.21

右翼と日本人

2.26事件(1936年)が起きた時、北一輝は頭を抱えたのである。1932年に三井財閥の団琢磨が暗殺されてから北一輝は三井から金を貰うようになっていた。今日の貨幣価値で言うと、たぶん1億円くらいは手にしているはずである。三井財閥としては、北一輝に金を渡すことで、これ以上三井に危害が及ばないようにしたのだ。北一輝はテロリストに影響力があり、あの有名な「統帥権干犯」という言葉を考えたのも彼である。テロリストへの恐怖感により、三井財閥から北一輝に金が流れ、立派な家屋敷を構えて生活できるのだから、本当にテロを実行されても困るのである。大川周明のように著作がベストセラーになるわけではないから、北一輝は犯罪で得た贓物で暮らすしか無かったのである。2.26は当初は成功するとも思われた。だが、昭和天皇が激怒し彼らを賊軍と見なしたので、討伐されることになった。そして直接は関与していない北一輝もこれで死刑となってしまう。2.26が発生した後に、実行犯に電話を入れたことが大きな原因だが、勝ち馬に乗ろうという色気があったのかもしれない。騒擾が鎮圧されたと言っても、実際に人間が死んで血が流れたことで、テロの恐怖が生々しく広がったのは確かである。この当時はソビエト共産主義という脅威があったから、日本が勝手に発狂したというわけでもないが、完全なファシズムの時代に突入していくのである。海外の右翼と日本の右翼は毛色が異なっている。普通であれば、右翼は外国人を攻撃するわけである。日本の右翼は「君側の奸」を標的とした。つまり天皇の側近が逆臣だとして、殺そうとするのである。昭和天皇のおぼえがよい人物は暗殺リストに入る。玉(天皇)を奪えば、下級武士でも頂点に立てるという明治維新が悪いお手本となったのである。大正天皇は幼少期から病気を繰り返し我が儘であったから、ほとんど崇拝の対象にならず、大正デモクラシーの頃は軍服を着ていると肩身が狭かったと言われる。そこに昭和天皇という無私を極めた元首が登場したのである。底辺の有象無象が天下国家を語り、明治維新の再現をやろうとしたのである。2.26の実行者たちは自分たちの計画を昭和維新と称していた。イギリスのような階級意識がないから起こった現象と言える。大物右翼という存在は戦後も君臨し続けたが、ここ最近は空気となっている。時代の変化は老人の死によってもたらされる。児玉誉士夫とか笹川良一が永遠に生きていたら、彼らに引導を渡すのは難しく、なかなか厄介だっただろう。もしくは昭和天皇にしてもカリスマ性がありすぎて、アンタッチャブルな存在であった。無私を貫く昭和天皇が永遠に生きていたら、その代弁者たる右翼は永遠に続いただろう。今上天皇は類い希な常識人であるから、非常識な衝動を投影する対象にはならない。そもそもかつては後鳥羽上皇や後醍醐天皇が島流しにされたし、江戸時代も天皇は冷遇されていたから、やはり明治維新が右翼という物語(下級の志士が天皇の側近になる物語)を生んだのである。三島由紀夫が楯の会を作り、青年将校のような学生を集め、自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデター未遂事件を起こして割腹自殺したのも、2.26の挫折を再現したのである。三島由紀夫が外国人排斥運動をやっていたということはまったくないし、あくまで戦後の日本人に呼び掛けたのである。







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