近代社会は、人権と国家の二重権力とも言える。
ポストモダンを目指す進歩的文化人は、国家の消滅をひたすら願い、人権だけが花開く地上の楽園を求めている。
日本でもそうなりそうなのが沖縄である。
ウクライナやスコットランドの事例を見ても、21世紀は独立運動が流行るのは間違いない。
沖縄独立運動を考えた場合、やはり中国に接近するという話になるであろう。
尖閣諸島を沖縄と中国が共同開発するという案である。
米軍が追い出されて、代わりに中国が沖縄に入るシナリオは充分に考えられる。
鳩山由紀夫を思い返せばわかるように、沖縄はそういう左翼ファンタジーの舞台なのである。
本土で姿を見なくなった左翼がプラカードを持って沖縄に集結しているのだから、独立運動は盛り上がる一方であろうと思う。
客観的に見て、沖縄が独立して中国の属国となった場合、悪いことしかないように思うのだが、運動で本土を脅して補助金をもらいたいというメンタリティーが蔓延しているから左翼としても利用しやすいであろうし、離婚してヤクザと結婚するような勇み足が本当に実現する可能性もある。

なお琉球が中国なのか日本なのかという議論についてだが、ペリーが黒船で江戸にやってきたとき、琉球を経由しているので、滞在はしている。
「ペリー提督日本遠征記」という本があり、ペリーが依頼したホークスという歴史家が編纂しているが、一応はペリーの著作である。
現在だと角川ソフィア文庫で出ている宮崎壽子訳によるものが安価である。


ペリー提督日本遠征記 上 角川ソフィア文庫
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そして人の意見の紹介ではあるが、ペリーは琉球は日本だと認識している。

琉球で数年間生活したベッテルハイム博士は、いくつかの理由から、次のように信じている。 「この国はある程度は独立しているが(琉球の支配者は北京に対する貢納とひきかえに、王という尊称を帯びることを許されている)、結局のところ日本の一部である」  その理由を要約すると次のとおりである。  

一、「那覇に日本の守備兵が駐屯している」。しかし、この駐屯兵が公然と姿を現すことはないことを、知っておかなければならない。なぜならば、琉球人は武器その他の軍備を持たない戦争嫌いな国民をよそおっているからである。しかし、ベッテルハイム博士はたまたま駐屯兵の一隊が武器を手入れしているのを見かけている。

二、琉球の貿易はすべて日本とのものである。琉球が中国の属領ならこのようなことはないはずである。日本は年間約四五〇トンの船を三、四十艘、琉球に派遣しているが、毎年中国に行く琉球船は一艘にすぎない。一年おきに、一艘以上の船で中国に貢物を運んでいると言われているが、那覇に入港を許された中国船は一艘もない。

三、琉球には多数の日本人がいて、現地人と変わりなくたえず出歩いている。日本人は琉球人と結婚し、土地を耕し、那覇に住居を建て、要するに、日本にいるときとまったく同じように暮らしているようだ。しかし、中国人はほかの外国人と同じように追いまわされ、密偵につきまとわれ、ののしられ、侮辱されている。このことは、わが士官のひとりの日記からはっきりと確認できる。この士官は自分が目撃したいくつかの事実に基づいて次のように述べている。「宗教、文学、風俗習慣が、同一ではないにせよ、類似しているにもかかわらず、彼ら(琉球人)が、ほかのすべての国民と同様に、中国人との交際を固くこばんでいるのはまったく明らかである。実際は、琉球は事実上も法律上も日本の一部なのであり、そのモットーは『全世界と絶対に交際しないこと』なのである」。

四、ベッテルハイム博士が琉球当局者と接触するときには、いかなる場合にも常に少なくとも二人の人物が姿を見せた。この人物が会合をとりしきり、琉球の役人を操っていたのは明らかである。彼らは日本の監察官であると、博士は推測した。

五、琉球の言語、服装、習慣、道徳、悪習は日本のそれと一致しているので、両国の明白な関係が確認できる。言語は人類学者にとって最も確実な証拠となるものである。この点に関しては、わが士官の調査結果を、適当な場所でさらに詳しく説明することにしよう。


ペリーが黒船でやってきた出来事は、日本史でかなり重要な部分である。
この当時の日本の領土問題について語るのに、これほど権威のある人物はいないであろう。
琉球は中国に貢ぎ物をしていたにもかかわらず、ペリーが琉球を日本だと認識していたのは、説得力のある証拠だと思われる。
沖縄独立問題の議論で「沖縄は中国」という話になった場合は、このペリーの見解を引用するべきである。
ここで引用した以外の箇所でも、ペリーは琉球は日本だと力説している。
興味のある人は、この本を実際に読んでみてほしい。
全体的に読み応えがある名著なのである。
またペリーに恫喝されて開国したという経緯からして意外かもしれないが、日本へのリスペクトに満ちあふれた書物である。
どちらかというと、江戸についての記述はあまり多くなく、それ以外の経緯の方にページがたくさん割かれているのだが、歴史に興味のある人なら読んでおくべき書物であろうと思う。







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