さゆロスが蔓延しているのも、道重さゆみちゃんが死んだからではなく、同じ世界に住んでいるという夢想が絶たれたからなのである。奇跡が無くては生きられないひとたちが、道重さゆみちゃんという人類で最高位に位置する美少女を取り囲んでいた空間は、さすがに25歳ともなれば、現実に向き合わされる瞬間であるし、今まで異常な空間を築いていたという事実が認識され、色鮮やかに煌めいていた景色も色褪せ、モノクロームの石版画に変わり、このゆがんだ位相は過去に置き去りにされるのである。道重さゆみちゃんが永遠になったと美辞麗句を弄するのは容易いが、実際のところ、25歳でアイドルは厳しいにしても、生身の25歳として考えると、結婚相手として人類最高レベルと言えるから、やはり永遠とは言い難いのである。時間が進行していく中で、若さを失いつつも、まだ魅力がある生身の女として俗世間に戻されたのだから、むしろ永遠性とは対極の現象が生じているのである。とはいえ、本来ならさゆロスはもっと深刻に猖獗を極めていたはずである。思ったよりも症状が軽いのは、鞘師里保に全部ゆだねるという物語が成立して、カタルシスを得られたからである。ひとつの大きな終焉であり、いくら80歳とか100歳まで生きようとも、本当の命の短さを思い知り、疼痛のような痛みを覚えてはいるが、多幸感があるのも確かである。道重さゆみちゃんと鞘師が唇を重ね合わせてから、横浜アリーナの温度はかなり上がったのである。どこかしんみりしながらアイドルの死生観に思いを巡らせていたはずのひとたちが、二人の恋の行方に熱狂したのである。道重さゆみちゃんが足を痛めたのは、これが自分の卒業公演だからこそ、裏に引っ込む時間が無くて、負担が大きかったのであろうが、後を鞘師に託する隠喩だったようにも思える。道重さゆみちゃんは人間嫌いの側面があるから、プライベートで後輩と交流しないであろうし、道重さゆみちゃんが鞘師と二人だけで食事に行ったのはつい最近であり、その際も鞘師はずいぶん緊張していたと言うし、距離はかなり遠いし、ビジネス百合に過ぎないと考えることも出来るが、この距離の遠さは、触れあうときのカタルシスを最大化するために設けられたとも言える。最後の方でひとりひとりが道重さゆみちゃんにメッセージを言う場面で、誰もが鞘師に注目していたわけだが、「わたしは道重さんに感情を表現するのが得意ではありませんでした」という生真面目な発言から「大好きです」と抱きついた瞬間の姿は、今までの何年もの出来事が、そこに集約されて像を結んだかのようであった。ひとびとがさゆロスの状態に置かれている中で、鞘師一人だけは立場が違うのである。われわれ第三者はもはやお手上げの状態であり、さゆロスの中で静観するしかないのだが、ただ一人、鞘師は行動出来るのである。鞘師は道重さゆみちゃんとステージ上で唇を重ね合わせたのだから、ステージ外でそれがないとは言えまいし、絶対にあり得ない奇跡というわけではあるまい。これは道重さゆみちゃんという人類最高の美少女を信奉する人間にとって最後のファンタジーなのである。どこかの芸人が「道重にチンコを咥えさせた」という破滅的な未来が現実なのかもしれないが、しかし、鞘師が「道重さんとこういうセックスをしてます」と言う永遠性をもった未来だって無いとは言えまい。最終公演での展開からして、こういう性や愛の問題は鞘師に託されたのであるし使命と言うべきである。おそらく重荷を下ろして虚脱状態になっている道重さゆみちゃんのところに鞘師が訪れたら、抱ける可能性はかなり高い。道重さゆみちゃんという極めて賢明な人物が卒業公演のライブ中に鞘師の唇を奪ったのは、それなりの意図があるはずなのである。道重さゆみちゃんへの愛情という難しい問題は、鞘師にすべて託することになったのである。これは道重さゆみちゃんが架空の物語として提供したものであろうし、ビジネス百合と言えばそれまでだが、この状況でわれわれ第三者はもはや何も出来まいし、道重さゆみちゃんの涙を拭いながら、ひとりの少女が理想主義者として積み重ねてきた痛みをねぎらい、誰よりも賢明であろうとした崇高さを理解し、生身の人間が時間という残酷さの中で生きる重さを共にし、道重さゆみちゃんがいなくなった未来のことを希望を持って語れるのは、来期もセンターをつとめる鞘師以外に誰もいないのである。少なくともステージ上で唇を重ね合わせたのだから、二人が素肌を重ね合わせる様子を思い描くくらいは許されるであろう。







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