われわれは根無し草であるからこそ根拠を求めざるを得ないのだが、どこまで手を伸ばしたとしても、掴まされるのはフィクションである。本当の根拠がないので、建国神話とか創造神話のような物語に依存している。こうやって肉体を持って存在しているのはカフカの「変身」のような悪夢であるし、ましてやおまえらの肉体だと巨大な虫とたいして変わるまい。なぜこの肢体をうごめかしながら生きながらえようとしているのか、その解答欄が空白であることに耐えられない人は神話に縋るしかないのである。われわれ個人の成り立ちについても、作り話で説明されている。親からもらった身体という物語が典型である。実際は生命体が繁殖しているだけである。親に感謝したり、もしくは恨んだりするのは筋違いであろう。産んだ後に育ててくれたことに感謝するのはいいとしても、産んだだけで感謝しろというのなら、子宮から出てきた瞬間にえいやと赤ちゃんポストに投擲されて不遇の境涯を過ごしている人でも、どこかの公衆便所で産み落としてくれた深い愛情に感謝しなければならないことになってしまう。人間存在というミステリーに向き合うなら、親への感謝とか、恨み辛みとか、そういう物語で誤魔化すのをやめるのが出発点である。気付いたら天涯孤独でこの地球上に肉体として存在しているのが実態であり、だからこそ血縁に頼り、家族の一員であることをアイデンティティーとして、そのつながりで生きながらえ命脈を保っているのだが、この現世で生き抜くことに忙殺され、黒檀に染まる無明の世界でひたすら貪るしか無く、煌めく蒼天からは遙かに遠い。もしくは蒼天はわれわれの頭上に広がっているのかもしれないが、動物が音楽を理解できないのと同じで、人間が理解できることしか人間は理解できないのである。五感が補足できない物理現象も科学で検出できるが、精神現象の検出は不可能である。人間にとって最高の快楽はセックスであり、天国に行ったら理想の相手とセックスしたいと願うのだが、山紫水明の景色が広がる天界で沐浴する貴人であれば、われわれソドムの住人とは設計が違うであろうし、もっと高級な快楽を体験しているかもしれないのである。







スポンサードリンク

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

ukdata

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング