フランスという国は、廃嫡されたシャルル七世を救うべく天意を受けたオルレアンの少女が蹶起し、その超俗的なカリスマ性が歴史を動かしたのであるし、またナポレオンはこの救国の聖者であるオルレアンの少女をよく引き合いに出して、愛国心を高めていったのである。
フランスは16世紀にノストラダムスを生み出した国でもあるから、恐怖の大王が訪れるはずの20世紀末において、その終末思想に惹かれやすい土壌もあったのであろう。
無知の知というソクラテスの立場が、知性のとるべき大原則であるが、フランス現代思想は全知全能の預言者の集まりとなった。
数学や物理学の高度な専門用語が鏤められた黙示録は、全知全能の預言者が記述したのであるから、その有り難い稀覯書の暗号解読に成功すれば最後の審判たるべき解答が得られるとされたが、結局のところはオカルトなのである。
ポストモダンがどうたらという預言書の記述のところどころに的中したところがあったとしても、そこだけサルベージして社会学的功績として羅列するわけにはいかない。

人間の行動というのは予想ができないし、なにしろ自分自身のことでも予想ができない。
たとえばわたしが現在ジュースを飲みたいと思っているとして、ではこれから飲むかどうかは判然としない。
ジュースばかり飲むのも健康に悪いから、緑茶で我慢するかもしれない。
人間の行動選択は、物体の落下運動とは話が違うのであるから、予測はできないのであり、ジュースを飲みたいから飲むという単純な話ではない。

哲学は実用性がないとされるが、アインシュタインはヒュームを熱心に読んでいた。
ヒュームは哲学の専門家にはあまり人気がないようだが、懐疑論者としてわからないことはわからないと書いておしまいであるから、物事に根拠はなく感覚の問題だという真っ当な主張が、相対性理論に貢献をもたらしたのである。
また1997年に「知の欺瞞」を出版したソーカルも、ヒュームには好意的であるように思える。
どこがわからないのかはっきりさせることから知性は進歩するのであり、全知全能のフランス現代思想は知性を害しただけなのである。
未解決問題を提示しておけば、それを誰かが解いてくれることもあり、それが人類であるし、大衆の集合知とはまた別の、天才の集合知である。







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