2016.05.18

JOMとJOCと電通

10年位前に買った「電通の正体」を書架の奥から引っ張りだしたのだが、Amazonではこの本が一時的に品切れということになっている。

売り切れたら増刷するだけであるから、電通が買い占めたわけではあるまいし、おそらく最近の二億円賄賂騒動で買った人も多いのであろう。

わたしが持っているのは2005年の初版本である。2006年に増補改定されているらしいが、そちらは読んでいない。どちらにせよ10年前にこのような試みが行われたのに、続くことがなかったわけだ。

これはバイブルというべき書物となるだろうが、JOCに関するところを引用してみよう。

翌八九年、当時の文部省下にあった体協内のオリンピック委員会は、
(財)日本オリンピック委員会(初代会長は堤義明・現名誉会長)として独立、
新たな「アマチュア・スポーツの総本山」になる。
一方この頃から、電通任せのオリンピックマーケットからも独立する機運が芽生え、
長野オリンピックに向けた九十三年、
JOCは関連団体として、ジャパン・オリンピック・マーケティング株式会社(JOM)を設立する。
JOMは五輪選手の肖像権や、スポーツイベントの商業的権利などの企画や販売を扱う会社であった。

これに加え九六年、バブル崩壊不況のあおりを受け、電通が、JOCへの最低保証額を値切ったことをきっかけに、
「契約通りにやってもらえないなら、今後は他の代理店を使うことも考えるべきだ」
と、競争原理導入を求める声がJOC内部で噴出した。
JOM関係者は当時の様子を語る。
「たとえば電通はある企業をスポンサーにしたら、そのスポンサー料の15パーセントを取った。
さらにそのスポンサー企業のオリンピック関連のプロデュース料として制作費の15パーセントを取った。
JOCに入るはずの30パーセントが電通に渡ってしまうわけだ。
そこでJOMをつくったわけだが、確かに電通が間に入るより利益が大きくなりました」
実際、マーケティング事業をJOMに業務委託し、代理店に総合商社・三菱商事を加えたところ、二年間のマーケティング収入が、当初掲げた目標額10億円の二倍、20億円を突破した。
これで自信をつけたJOCは、競争にさらなる拍車をかけるべく、博報堂など二社を新たに加え、現在の「四社体制」が出来上がったのだ。
だが、八年間で350億円を稼ぎだしたJOMはなぜか2000年末に解散してしまう。
この事について、JOM社長だった菊地陞JOC元理事(日本ライフル射撃協会会長)は、
「西武グループがオリンピックビジネスを牛耳るためには、透明性の高い中立な組織などあってはならないのだ。おそらくわたしの解任によってJOMは解散させられるだろう」
(『文藝春秋』2000年4月号)と告発している。
予言通り、菊地はJOC理事を解任され、JOMは解散したのだった。
だが、関係者は、解散の原因は西武・堤支配だけではないという。
当時、「政治」からの自立を目指したJOC=JOMは、電通からも自立しつつあった。
だが、出向者を常駐させるほどJOCに食い込んできた電通は当然、納得できるはずもなかっただろう。
「菊地さんも『文藝春秋』では、堤義明批判とともに、電通批判も書こうとしたほど、電通の商法に疑問を持っていた人です。
菊地さんはJOC役員クラスには電通を入れなかったし、そんな菊地さんを電通は嫌っていた。
電通のある局次長などは当初、菊地さんに取り入ろうとしたが、それがだめだとわかると解任させようと動いた。
この局長は退社後、マーケティングアドバイサーとして菊地さんのいないJOCに入ってきた」(JOM元職員)
電通の逆襲が始まったのである。


さすがに長いし疲れたので適法引用という問題も含めこの辺りにしておきたい。
増刷されたら「電通の正体」を購入してほしい。

高橋尚子が自分でCMに出ていたりしていたが、ああやって選手が自分の肖像権を主張するようになったことが電通に付け入る隙を与えていたようだ。

この本にはまったく書かれてないが、電通が高橋尚子に金儲けの知恵を授けたという推測も出来なくはない。あまり筆を走らせると妄想になってしまうし、高橋尚子が金メダルを取ったのは2000年のシドニー五輪であるから時系列がちょっと合わないが、なんにせよ、選手が肖像権を主張し始めたので、JOCが選手の肖像権で儲けられなくなったのが、排除したはずの電通に再び食い込まれたひとつの要因のようだ。
そして完全にJOCは電通に屈服した、のであろう。

「電通の正体」が2005年に出されて、2006年に増補されたらしいが、そこから10年間はとても資料が乏しいので、調べるのが難しい。

とはいえ、事実の断片から想像を巡らせることはできる。
たとえば、電通の香川健二郎さんが3月15日にアミューズの執行役員になってからベビメタ推しが露骨になっているのだが、これは中元すず香を東京五輪で歌わせるというシナリオなのだろう。
電通からJOCにずいぶん入っているらしいが、アミューズの方に入った香川健二郎さんは今後どうなるのだろう。
枝野幹事長が電通を名指しで批判し始めたので、東京五輪関連の事情がいろいろと暴かれることを期待する。







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