ドン・キホーテの創業者である安田隆夫が書いている「安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生」 (文春新書) を読んでいたら、面白い話があったので紹介しておこう。

ドン・キホーテの持ち味は何と言っても深夜営業、ナイトマーケットである。
昼間にスーパーマーケットで買物をする主婦とは違う客層である。
夜10時から午前2時までが売れるのだ。
生活必需品とは言えない怪しげな品物が、いわゆる圧縮陳列で所狭しと並んでるから、宝探しの感覚で買ってしまうわけである。
目的の商品を探しているのではなく、むしろ面白いものがあったら買うのである。
その瞬間的な閃きは衝動的であるし、まさに衝動買いなのだが、たいした金額ではないので流行るのであろう。

深夜という時間は人間を非日常に目覚めさせるらしい。
世間が寝静まっている時に起きていると、なぜか世俗を超越したような特権性がある。

当然ながら、深夜営業への抗議というのもある。
1999年には当時の大店法の審議会に掛けられ、小金井の店舗が夜11時までにさせられたそうだ。
この決定に法的拘束力はないのだが、たぶん逆らってもいいことはないので従ったのだろう。

この問題はなぜか大店法の審議機関である大店審(大規模小売店舗審議会)にかけられた。もちろん大店審は本来、大店法により小規模小売店保護の見地から出店調整を行う場であり、そもそも環境問題を審議する場ではない。繰り返すが、もとより同店は、大店法の規制にかからない店舗である。当社が予想外の成り行きに驚き、困惑したのは言うまでもない。
しかも大店審の審議委員は、学識経験者、地元商工業者、地元住民の代表からなる。地元商工業者と地元住民は「反対」なのだから、これでは裁判官三人のうち二人が原告のようなものだ。そして彼らは住民の要望通り、「十一時閉店」という審議決定を下したのである。さらに、その審議内容は「非公開」だ。当社は当事者なのに議事録さえ開示されない。一方的な決定あるのみで、そこで具体的に何が問題になり話し合われたかは知る術もない。


この反対運動では、「住民」が来るわけだが、どうもいつも同じ面子の市民活動家が来るらしい。
わたしは最近はテレビ見てないので今でもやってるのか知らんが、抗議団体がマスコミを引き連れてくるというのは典型的な突撃方法なのであろう。
なんか活動家、いわゆるプロ市民が「住民」をやってると察せられることは昔からあるわけだ。

不可解だったのは、「住民」と称する人たちが大勢で各店に押しかけて大声をあげるのだが、どこの店にやってくる「住民」も、ほぼ同じ顔ぶれだったことだ。後からわかったことだが、彼らはある政治団体に属する市民活動家たちだった。そして、「住民」の抗議の現場には、なぜかいつもちょうどいいタイミングでマスコミが現れるのだ。


沖縄の基地反対運動でも、本当に普段から沖縄に住んでいる人がどれだけいるのかわからんし、そういうものなのだろう。
ドン・キホーテの是非はともかく、というか、土地柄の悪いところだと迷惑している地元住人がいる可能性もあるが、やはり普通の人は反対運動はやるまいし、結局は遠方から活動家が駆けつけるのである。
マスコミも地元住民ではないと知りながら加担しているわけだ。

やや文脈が違うが、福知山の祭りで露天商が火事を出した件とか、無一文であろう露天商はスルーで、金がありそうな商工会議所に押しかけてるし、あれは結局は保険が降りたらしいが、もはや遺族とマスコミが結託した民事暴力であろう。
(金が取れない時に遺族が出てこないのは秋葉原の通り魔事件で明らかである)。

さて、この悩みがなくなったのは、大店法が廃止され、新しい法律が作られたことである。
これはアメリカからの外圧で変わったようである。

二〇〇〇年六月から、従来の大店法に代わって大店立地法(大規模小売店舗立地法)が施行された。これがドンキにとって決定的な追い風になった。環境の保護を主旨とした同法の施行により、地域環境問題は「密室」ではなく公の機関で白日の下、堂々と公開審議、公開審判されるようになったからである。
たとえば前出の環七方南町店の開発時期は、旧大店法下であったため、非常に難航した。法令基準を軽々とクリアする店づくりをしたにもかかわらず、開発段階での地元説明会等は旧大店法下でおこなわれたため、強烈な反対運動を受けた。だが大店立地法施行以降はそのようなことが一切なくなり(できなくなり)、当社の新規出店は何の問題もなく、きわめてスムーズに進むようになった。


業績が伸びてきて、あちこちで反対運動が起こり始めたあたりで、アメリカの圧力で大店法が変わったというのは、成功には運が必要ということでもあるだろう。







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