われわれは肉体にアイデンティティを置いていない。よほどハイスペックでなければ、たいていは肉体の交換を望んでいるはずである。肉体こそが存在そのものなのに、交換を希望しているという変な状態が人間なのである。ルーツに固執するのが人間であり、たとえば区画整理のために代替え地に移動してくれというのさえうまくいかない。国籍を変更できると言われても、先進国の人間なら、変更したがる人はあまりいないだろう。何が何でもそこに住みたいという帰属意識があるわけだ。肉体はそうではないし、何が何でもこれがいい、という帰属意識はない。では内面を交換したいかと言われると、たぶん誰も応じないであろう。この暗澹たる怨恨が根を張って壊死した内面を全消去して、光風霽月たる明朗な美青年に生まれ変わり、その美青年が何千人という美人とセックスしたとしても、それはやはり別人なので意味が無い。10年前の自分と現在の自分が同一とは言えないが、「同一性」はある。自分の記憶には自分しかアクセス出来ないというプライバシー性があり、それが自分という特異点を生み出しているのだが、その自分しか読めない稀覯書は手放したくないらしい。このところ監視カメラの設置が増えているし、あなた方のような精神障害者にはGPSを埋め込む時代になるから、なんとも言えないが、原則的に、現場に居合わせた人間しか事実は知らないのである。人間の内面は変化し、それこそ別人のように変貌することもあるし、王朝が倒れてはまた別の王朝が作られて、それぞれが篋底に秘められた断代史として書き残されるのであろうが、肉体が同一であり、秘密の内面が通史として継続している限り、昔日の面影は残存し、帝国としての連続性はあるのである。肉体は秘密ではないし、むしろ惨たらしく公開され露顕しているものであるから、生涯つきまとうとはいえ、自分のプライバシーに帰属するものではない。







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