人間はルーツに乗っかった存在である。文明的なルーツに乗っかった存在という意味である。文明が誕生する前まで遡ると、たとえば日本人と韓国人は同じルーツになりそうだし、そもそも人類はすべて黒人ということにもなる。あくまで文明が成り立ってからのルーツが重要になる。このルーツの文化的差異でわれわれは自らのアイデンティティを見出している。現在のアメリカは白人63.7パーセント、黒人12.2パーセント、ヒスパニック16.4パーセントであるが、3分の1を占める非白人層にヒラリーは極めて強いわけである。白人は63パーセントで多数派だろうと言うかもしれないが、エリート白人層はヒラリー寄りである。社会的地位が高い白人となれば、失言などは絶対に許されないし、徹底して「政治的に正しい」意見を教えこまれる。ヒラリーを徳操の高い人物だと誰も思うまいが、政治的に正しいのは間違いがなく、要するに、平均以下の白人は冷遇して、有色人種を優遇することだが、これは白人エリートの基本なのである。白人エリートとしては、自らの立場を確保しているからなのか、それでも構わないらしい。何よりも、黒人に対してネガティブな発言でもしたら、社会的に死亡であるから、そうするしかない。報道がヒラリー支持に偏っているのも、今に始まったことではなく、マスメディアはリベラルだから、民主党を応援するしかない。共和党もリベラルに阿るしかなく、主流派は両親がキューバ生まれのマルコ・ルビオを大統領候補にしようとしていた。そこに最後の反動と言うべきか、ドナルド・トランプというトリックスターが現れ、平均以下の白人に決起を促し、政治的正しさへの反感を前面に出して勢力を伸張したのである。白人というルーツを持っている人間は、差別者としての咎を負っているとも言えるが、これもなかなか不思議である。他国の事情は知らないが、特別な名家でもない限り、自分の先祖についてよく知らないのが普通であろう。それでもルーツが背負っている罪科を糺される。おそらくこれは法的には追及出来ないから、あくまで政治的な問題である。われわれが互いにルーツという物語を抱いているからには、そうなるのである。たかが5000年前に文字を覚えた人類が、そこを天地開闢の起点とみなしている。眩暈がするほど長きに渡る先史時代は無であるので、文明が成り立ってからの因縁が古色を帯びて色褪せるどころか、ますます重みを増してくるのである。われわれ個人はつい最近この世界に産み落とされて、しばらくしたら死んでいくという謎だらけの人生を生きているのだが、白紙が文字で埋め尽くされていくように、この肉体には文化的なコードが縷々と書き綴られ、万巻の書を読みつくし仔細まで辿ることは出来ないにせよ、そこまでに成り立った文明を学習しているのである。自らを恃むしかない無国籍で文盲の野蛮人として手付かずの自然を彷徨って生きるのでなければ、身体の隅から隅まで文明人として啓蒙されるしかない。この仮住まいの文明、特に自らが帰属する民族こそが、アイデンティティであると確信するしか無く、学べば学ぶほど、この泥土に嵌り込んで終の棲家とするしかなくなる。そのアイデンティティを共有する過去の同胞が蹂躙されたというのなら、恨み骨髄に入るように、われわれの肉体に侵食しており、仇討ちしなければならない、という感情が湧き上がっても不思議ではないが、どうもよくわからないのも確かである。







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