人間は所有することで存在するのだが、所有は権利だけでなく義務も伴う。自我の荷物とも言えるから、本当に必要なものでなければ、身軽になるためにどんどん捨てた方がいい。金の延べ棒が積まれているならいいが、読まない本がたくさんあるとか、着ない服がたくさんあるとか、これは重力の魔であり、足首に絡みつく桎梏と言うべき泥土だ。読まない本を読むかもしれないし、着ない服を着るかもしれないが、だが、そのような義務を指折り数えてうんざりするくらいなら、捨てた方がいい。読まれる機会を逸した本が、再び手に取られるべき好機を迎えて鮮度を取り戻すのは稀である。現在の自分に必要でなく、将来もたぶん必要でないのに、これらを損切りせずに取っておくのは人間を蝕む。積んでる本を読んでも読まなくても購入した代金は戻らない。タスクの順番待ちで滞っているのだから、詰まっているところを捨てれば気が軽くなる。人生は回避できない義務というものもあるが、積んでる本からの催促がめんどうで読書が辛いとか、そういう些事であれば、その本を捨てて義務を減らしたほうがいい。新しく興味を惹く書籍があっても「他に積んでるのがたくさんあるからなあ」と、その読みたい本を断念するのであれば、あまりにも愚かである。読むことで書籍の購入代金を回収するという発想は間違いであるし、そういうバランスシートで動くべきではない。当たり前だが、3000円で買った本を読んだら3500円もらえて、500円の利益になるわけではない。放蕩や奢侈への歯止めとして「元を取る」という倹約的な消費者心理も教え込まれるのだが、実際は買ったが最後、読んでも捨てても同じであるし、時間のほうが遥かに貴重なのだから、貧乏性は卒業しなければならない。わざわざ物理的に捨てずとも、其の本の存在を忘れ去ることで対応してもいいが、そうやって未練がましく惜しむからには、どうしても義務の羅列の中に紛れ込んでしまう。所有権を捨てずに心理的義務のリストから外せるならそうすればいいし、そのような心の整理で、もったいないという重苦しさを克服し、この無明の世界に、ひとつも引っ掛かりのない希望が満ち溢れるならいいが、賞味期限が切れた本は捨ててしまうのが最も手っ取り早いのである。







スポンサードリンク

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング