他人に憑依することが出来たなら、その人の人生の課題を解決してあげられるかもしれない。われわれにとって超えられない壁は、個人的な恥であることが多いからだ。いわゆる公然の秘密というものだが、丸わかりでも隠しておきたい問題である。他人に憑依出来るなら、その人間のつまらない恥など脇に差し置くことが出来るし、粛々と他人に向き合える。弁護士が代理人になるのは、その粛々とやる行為のひとつであろう。仲間の助太刀ではなく、しがらみのない無個性な人間として本人を代理し、その戦果は本人に帰属するわけである。とはいえ、いつもいつも弁護士に頼んで機械的な対応をしてもらうわけにはいくまいし、当人の自我の欲求を捨て去っていいものであろうか、という問題もある。そもそも弱さという深刻な悩みを些事として却けるのは人間的ではあるまい。代理人として弱者に憑依出来るなら、その弱さは他人事なので、平然として自分が弱いと認め、弱いからどうしたと、人を食った対応だって出来るであろう。おそらく弱さというタブーこそが人間なのであろうし、これを公然の秘密としてデリケートに扱い、もしくは暴かれることに耐えるのが人間世界である。もしくは、そのタブーを捨てて開き直るのであれば、自らの手でプライドを捨て、筆硯を新たにし、自分で次章を書き綴るしかないのである。他人に憑依して、邪魔なプライドを捨てた上で、合理的行動をしてあげるとすれば、それは主体性の死であろう。暗澹たるまがまがしさが深く根を張って身動きが取れない状態こそが人間なのである。われわれは弁護士を代理人として雇ってドライな解決をすることもあるが、では大人たちがプライドを捨てて人生の諸課題に粛々と対応出来ているのかというとそれは疑わしいし、轢死体さながらの廃疾であるのにまだ生体反応があり、失くしたものへの未練に囚われ、賽の河原で小石を積み上げるような無為に身をやつし、人間最後はプライドしか残らないという状態になってしまうのがありがちな末路である。







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