有村悠さんは庵野秀明の後継者と言っていたわけだが、まったくアニメ制作とは縁遠い環境で育ったからこそ、アニメ監督という目標が閃いたのである。多少なりとも美術でもやっていれば、そんな畏れ多いことは思いもしない。もしくは美術をずっとやっていて腕前が本格的な人なら、「30歳までにイラストレーターになれなければ自殺する」などと公言せずとも、ごく普通に挿絵の仕事でもするだろうし、アニメのキャラデザに関わることだってあるだろう。

ワナビーとは、おそらくスタート地点で出遅れている人のことを言うのであり、三浦カズが活躍していた頃、サッカーをやったことがないのにブラジルに渡る馬鹿がいたが、まったく積み重ねがないゆえに、未知の世界へのフロンティア精神が閃くのである。有村悠さんであれば、貧困母子家庭からの東大入学であるから、周囲の金持ち東大生と比べてかなり劣っていたはずであるし、高嶺の花の美人東大生に告白したら面罵されて、大好きな東大に通わなくなってしまった。いくら東大の中で最底辺とは言っても、東大に合格しているのだから、普通に勉強してればいいと端からは思うわけだが、やはり優れた集団の中で自分だけが劣っていることに自尊心が耐えられなかった。だからサッカーをやったことがないのにブラジルに渡ってワールドカップを目指したのである。勉強には限界が見えたが、サッカーには限界が見えてなかったからである。黴の生えた三等室を終の棲家として、冴えない歴史学徒の余生を送るなど耐え難かったのである。そのような変わり映えしない世界なら滅びるべきであったし、未知なる世界の幕開けのために戦端を開く必要があった。

彼が求めたのは価値転換のための王権思想であり、暗澹たる受難に満ちた貴種流離譚を生きながらえ、その虚空の肺腑に描いた建国神話の輪郭を具現化させ、天鵞絨のように煌めく須弥山の頂点に超人として姿を現すはずであった。それが現在どうなったかというと、なんかwikipediaから貼り付けて歴史の専門家気取りをやっている。有村悠さんは東大文学部西洋史学科中退だが、ずっとブラジルでサッカーをやっていたから、歴史の本など一行も読んでいない。ごく普通に東大で勉強していた方がよかったというオチだが、当時は金持ち東大生との格差に耐えられなかったのであろう。

このような誤謬は、知性の欠落というよりは、現実的な想像力の欠如である。もしくは、漫画だと主人公はまったくの初心者であることが多々あるし、バスケをやったことがないのに短期間で上達するとか、碁を知らないのに本因坊秀策の霊がうんたらとか、そういうのがずいぶんある。ルールを説明しながらストーリーを進めるには、主人公が初心者であると都合がいいということもあろうが、それだけでなく、やはり「選ばれた人間」という主人公意識なのであろうし、脇役に甘んじないという倨傲である。悪しき選民思想が根底にあり、ノストラダムスの大予言と大差がない。







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