相続税は社会的格差を是正するものだとされているが、実態としては血縁関係の支配の解体である。たとえば大企業の創業者一族を退陣させるためである。創業者一族に相続税を掛けることで、そういう血縁関係の支配を除去するのである。相続税システムの帰結はサラリーマン社長による支配であると言える。

大地主を解体することも相続税の文脈のひとつであろうし、それ自体は社会的正義であるが、大企業の私有地に相続税が掛からないのはなぜかという疑問があり、やはりこれも解答としては、世襲の大地主は悪だが、サラリーマン社長の大企業は悪ではないということであろう。

創業者一族の腐敗については論を俟たないが、そのような醜い莫迦な企業は倒産させておけばいいという考えもあり得る。
だが、そういう考えは極めて少数であろうし、大企業が経営不振に陥ると政府が全力で守ることになる。倒産による混乱の回避ということだが、そのようなズルが許されるのは、世襲ではないサラリーマン社長が回している公器だからなのだろう。
あるいは大企業が相互に繋がり合って財閥めいたものになることもあるが、これにしても、血縁が背景になければ正義なのだろう。

つまり総合的に考えると、相続税とは少数者の血族支配の否定であり、交替制のサラリーマン社長が大企業を経営することを理想としているのである。
たくさん社員がいるなら、大地主が独り占めしているのとは違うわけだ。

法人税は法人を潰すためのものではないが、相続税はその対象を叩き潰すためのものである。相続税という二重課税が許されているのは刑罰だからというしかない。

相続税が掛かるのは少し前だと上位四パーセントの人間であり、現在でも僅か六パーセントである。
つまり、九十四パーセントには相続税は掛からないのである。

なぜ九十四パーセントの人間は相続税を払わなくていいのかというのは、役人の都合でもあり、普通の公務員は相続税を払わなくていいシステム、という側面もあろう。

年収一千万円くらいだと相続税は払わない、もしくは払っても微々たるものであろうから、特別な巨額報酬を貰っている超エリートは別として、ごく普通のエリート層にはなかなか都合のいい制度とも言える。







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