2018.09.23
肉体と点
宇宙や地球のスケールで考える時に肉体を点と表現したくなるが、果たしてそれは正しいのか、という問題。「幅」があるからこそ空間であり、点はあくまで概念である。われわれの肉体は「幅」があるので点ではない。頭と手と足は繋がりながらも幅があり、同一の点には帰し得ない。地球という空間において人間の位置を示す場合に点として示すのは妥当であろうが、三畳間に一人の人間が住むとなれば、肉体は「幅」、つまり面積として捉えなければならない。ここからさらに筆を伸ばすとわたしの能力では心もとないが、やはり肉体には幅があり、これを広大な空間に比して考える時には点で略しているのである。われわれ人間は多細胞生物であるが、頭部や手足まとめて「ひとつ」なわけである。右手と左手と右足と左足がそれぞれ異次元ということはない。その一体感のある肉体を使いながら、歩いたり走ったり、狭苦しい三畳間で手足を折りたたんで寝込んだり、幅のある空間を体験しているのである。ではわれわれの体感が空間そのものかと言うと違うであろうし、たとえば重力を「重い」と感じるのは身体の感覚表現であり、いわば信号の色のようなルールというか、そこに必然性はない。肉体感覚で感じ取っている空間と、空間自体は同じではない。では空間自体とはなんぞやというと、これも謎である。空間現象だけがあり、空間は情報にしか過ぎない、ということも可能だ。ゲームでマップを動き回って、その座標の風景が描画されるような具合である。とはいえ、肉体がある状態で思考している限りは、連続的な「幅」がある空間に疑念を差し挟むのは難しい。
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