本を読んでも今ひとつ世の中のことがわからないのは、実務的なノウハウを公開する人が稀であるということだし、つまるところ飯のタネであるから、洗いざらい書くわけがない。たとえば板倉雄一郎の「社長失格」などは、人生経験をかなり率直に書いた稀な事例だが、こういうふうに仔細に渡って告白してしまうのは、大きな失敗をした人とか、刑事事件になった場合に限られる。もちろん「社長失格」が正真正銘の赤裸々な告白かどうかは知らないし、あちこち文飾が施されているのかもしれないが、あくまで事例であるし、ともかく稀なのである。大過なく生きている人は「告白」しないし、回顧録と銘打たれていてもほとんど精神論だったりとか、本で世の中を知るのはなかなか難しいのである。だから表向きは晒されていない本当の生々しい実情を知りたいのであれば、社会に自らを投じて内部関係者にならなければならない。では、本を読むのが無駄かというとむしろ逆であろう。たいていの人はどこかの組織に帰属して、その固定された立場で社会経験するので、一通り体験したら一人前で、あとは惰性で変わらない日々を反復するという側面もある。とある分野で30年やってますというベテランがいるとして、熱心に勉強している人と、怠っている人ではかなり違う。世の中には経験しないとわからないことがあり、その一方で硬い本を読まないとわからないことがある、というと単純な結論になってしまうが、そういうことなのである。







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