コロナ禍はトンネルの最後の方に来ているとは思うが、近日中に脱出という具合ではないので、われわれはもう少し囚人でいなければならない。その囚人が短絡的な自尊心の回復のために立ち上がる悲喜劇が繰り返されているが、これは現状の暗雲立ち込める惨禍の一幕として似つかわしいにしても、まったく美しくないものである。島田紳助の枕を断ったら干されたとか、つまり枕は断ったのだから、被害としては未遂だと思うのだが、やはりコロナの現状だと、そのせいで自分の現在が辛いという解釈が起こりうる。わたしは件の女性タレントについては存在そのものを知らなかったのだが、テレビに出ている人の大半は、なぜその場にいるのかわかりづらいし、本当の意味での需要がないから、実需とは別の原理があるのだろう。島田紳助とか出川哲朗のせいでテレビに出られなくなったという一種の誤解が正解となりうるのである。枕を断って仕事がなくなっても、それは泡沫のような浮世稼業を拒否する潔い態度のはずである。需要がないのに枕でテレビに出てちやほやされる人がいたとしても、それは羨むべきことではない。悪魔に魂を売り渡して下駄を履かせてもらうよりは、身の丈を認めたほうが真っ当である。コロナだとその身の丈を測る現実が崩壊しており、自らが不当に疎んじられているという被害者意識が募りやすい。人間に対する需要の無さという不安が蔓延しており、わざわざ包帯を外して、その膿んだ状態を見せあう。コロナ状態であると、誰もが難民のような具合であり、自らが見捨てられたという話への共感を得やすい。普段から見捨てられている人と、コロナで見捨てられた人では次元が違うはずだが、この監獄では無機質な囚人番号でしか呼ばれない平等性があるので、既存の垣根が取り払われている。われわれは今こそ人間としての姿を維持しなければならない。現状は誰もが死地に赴くかのようだが、決して死んだわけではないし、いずれその蒼白い顔に血色を取り戻すべく人間の形をしていなければならない。瘴気が消え去り監獄から出れば、囚人服を脱いで装いを新たにし、人間を人間たらしめている遠近法が回復し、それぞれの目鼻立ちがはっきりしてくる。







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