実は人間が威張れる相手はとても限られている。権力というのは多くの場合において、AさんとBさんの関係である。誰に対してでも威張れるような万能性は意外と無い。物権(誰にでも主張できる権利)ではなく債権(特定の相手への権利)なのである。社会的に偉い人だから誰に対しても威張れるということはなく、影響力を及ぼせる範囲は限定されている。圏外から見れば、どれだけ偉くてもただの人であり、頭を下げる必要はまったくない。だが、圏内であれば恐るべきことがたくさん起こる。物権でも債権でも似たりよったりだが、やはり債権とは特定の相手との関係であるから、その密室性ならではの怖さがあり、これが人間そのものなのである。「あの人は遠くから見ている分には面白い」という言い回しがあるように、やはり近くで関わり権力が発生してしまうと、とても厄介な人間というのはいるものだ。都合よく選べるものでもないし、人と関わるからには債権・債務があるので、特定の相手との関係が避けられないのが人間であり、リセットして白紙にできない、もしくは白紙にしても同じことの繰り返しであるから、「こいつさえいなければ」という発想はあまり正しくないが、密室における因果にひとは苦しめられる。密室とはいえ、相手を殺して完全犯罪というわけではないし、そうなれば捜査のメスが入るようになっている。ずいぶん嫌な密室なのである。この密室性によって、この相手だけには威張れるとか、わかりやすく言えば、毒親などが典型的な事例だが、最高権力者になったり最下層民になったり、そういう具合なのである。物権という物差しで見れば少額に過ぎなくても、債権の物差しで見れば巨大な債務であり、天と地という関係になる。この特定の相手との債権・債務がわれわれの狭い世界を作り出しており、それが人間存在なのである。







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