なぜか退職後に自分史を書きたい人がいるという。そして、つまらないそうだ。現物を読んだことはないが、おそらく自画自賛だからであろう。そもそも成功者の成功体験でさえたいして面白くない。時代の寵児としてのアイコンだから辛うじて書物として成り立つ。信者のためのグッズとしてご利益があるのだ。現実に成功した人の話は、成功してない人の誇大妄想と大差がないし、実は誰の成功体験もつまらないというのが結論である。凡人の自分史がつまらないのではなく、成功者の自分史も実はつまらない。芸能人の自伝が目の前に並んでいるとして、それを読みたいかというと疑問である。自分史は誰が書いてもあまりおもしろくない。さて、成功体験の自分史がつまらないことの説明はこれで終了した。その一方で、古傷を抉るように生々しく書かれた本なら読んでみたい。失敗だからこそノウハウであり、落とし穴を知っていることは逆に武器になる。これは人生の知恵である。しかし、そういうノウハウはなかなか書物として書かれない。手痛い代償と引き換えに得た教訓をただで教えるのは惜しいのである。多額の印税が入ると決まっているならいいだろうが、たいていは見返りが少ないので書かない。また社会的事件になったことなら公益性があるので書けるが、そうでもないと守秘義務違反の方が強く問われそうである。そして、言うまでもなく、恥ずかしいというのが最大の理由であろう。自分の人生の失敗をそのまま書けるかということである。自らの手痛い教訓は話したくないのである。そこを省かない自分史なら価値がありそうだが、たぶん露骨に省いているからつまらないのだろうと想像している。自分の銅像を建てるようなつもりで自分史を書くなら、誰のものでもつまらない。







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