世の中は詐欺に満ちている。騙し騙され、が俗世である。人を騙して詐欺罪で捕まることはほとんどないし、捕まるとすれば、たいていは致命的被害であろうから原状回復されることはない。深手を負ったらそれまでであり、ここから人間不信に陥り世の中を憂いて不定愁訴になるのだが、しかし、他人に騙されるからこそ人間の主体性があるとも言える。人生においては、他人の助言を受ける素直さも必要だが、しかし、利害の不一致が多々あるし、なにかしら困難に直面して、迂闊に誰かに相談すると内情を知られて罠にはめられる悲喜劇がある。騙されたり裏切られることがない楽園があるとしたら、なんでもかんでも執事にお膳立てしてもらえるお坊ちゃんのようだし、香しい薔薇園で無償の慈愛に育まれた御曹司も世の中にはいるだろうが、われわれの大半は鼻が曲がるような瘴気に満ちた血腥い邪心に囲まれているので、人生を他人任せにはできない。恵まれた環境なら、よい助言をしてくれる善男善女に囲まれているかもしれないが、そうでない場合は、育ちの悪い連中を相手に虚々実々の渡世をするしかない。名だたる権力者でもいつ裏切られるかわからない孤独はある。側近が寝返って裸城という繰り返しである。他人に任せず自分で考えた結果としてかなりの悪手を指してしまうこともあるが、他人が掘った落とし穴に落ちるよりは、自ら薄氷を踏むようにして歩を進めたほうがよい。「ひとの言うことを聞かない」と言われることもあるが、他人の助言には邪心があるので、頑固に自分でやるしかないこともある。それによって愚かなわれわれがますます愚かになったりするのだが、致し方あるまい。人間は素直であることも大事だが、この殺伐とした末法の戦場において、親切な人に善導してもらえることはないので、他人の手を払い除け、怪物と戦うには怪物であるしかないというべきか、悪魔憑きとして愚かな独断を繰り返し、血痰を吐きながら地獄草紙に悪鬼を描き足していくのである。







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