2022.11.03
氷河期世代。親の期待を裏切る原罪。
なぜ氷河期世代に自己責任論が浸透したのか、というと、小泉純一郎のせいだとなっている。わたしはこれは間違いだと思う。今から100年くらい前の世の中だと、子どもが五人くらいいるのが普通だから、親というものは、「さっさと自立しろ」と厄介払いしていたわけである。自立してくれればなんでもいいわけだ。戦後社会でこれが変わったわけである。「さっさと自立しろ」ではなく、むしろ親元で理想的に育てるということになったわけである。当然ながら、理想的に育たない人が多いので、親の期待を裏切るケースが生じてくる。氷河期世代だと特にそれが多発したはずである。だから親から「おまえが悪い」と言われて、本人も「自分が悪い」というわけである。ともかくそれだけの話であり、小泉純一郎のせいにするのは、やはり親の期待を裏切ったという最大の汚点から目を背けているようにも思える。五人くらい子どもがいる時代とは話が違うだけであり、また高度経済成長時代の上昇志向がバブル崩壊で破綻したとも言える。親の期待を裏切るというのは、それこそ謀反と言うか、朝敵になったようなものである。国家反逆罪であり、国籍がないようなものだから、これはなかなか居直れるものではない。そもそも非正規雇用の問題は、非正規の扱いが悪すぎることである。だから、非正規だけで集まって組合を作るべきなのだが、彼らはそもそも非正規を恥じているから団結しないし「正社員になりたい」と繰り返すだけである。おそらく正社員にならないと親を裏切ることになり、朝敵だということなのであろう。つまり非正規の人は、非正規の待遇改善は望んでおらず、むしろ非正規なら待遇が悪くて当然だという差別的目線を内面化しており、正社員にならなければ意味がないと思っているのである。まずは親の期待を裏切ったという原罪を問い直し、もうそれは仕方ないのであるから、自分で自分を差別することをやめて、ひとまず生活のために非正規の待遇改善を全国的に団結して求めなければ世の中は変わらない。
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